中期計画

ERINA中期計画<2014-2018>

ERINA中期計画<2014-2018> [218KB]

新局面を迎えた北東アジア経済社会とERINA

冷戦構造の終焉とともに北東アジアに新しい時代の到来が予感される中、1993年10月、ERINAは発足しました。ERINAが目指したものは、北東アジア経済に関する情報収集、調査・研究、そして経済交流の促進です。このことを通して、北東アジア経済連携の形成と発展に寄与し、国際社会に貢献することでした。

設立からすでに20年、この間ERINAは多くの理解者、応援者に支えられながら、北東アジアに関する研究センターとしての基礎を固めてきました。とくに調査研究、セミナーや国際会議、人材交流等によって構築された人的ネットワークは、国内はもとより広く海外にも及ぶようになり、その結果ERINAは、国内はいうまでもなく北東アジア各国においても、北東アジア研究の先進的組織として評価されるに至っています。北東アジア地域を国別あるいは二国間関係として分析するのみならず、多国間協力の場としてとらえようとする姿勢がERINAの独自性となっていることも、このことに寄与していると考えられます。

2004年には、明確な目標の下に活動をすすめるため、ERINA中期計画<2004-2008>をスタートさせました。そこでは、ERINAの役割を「情報センター」、「調査研究センター」、「経済交流支援センター」に整理し、「多国間・多地域間プロジェクトの推進」、「調査研究政策提言」、「地方間交流と地域経済振興」の3つを基本方針に掲げ、活動してきました。ERINAの役割や課題に関するこのような基本的枠組みは、ERINA中期計画<2009-2013>にも引き継がれ、現在も維持されています。

しかし、この10年間に北東アジアは大きく変動しています。もっとも特徴的なことは、中国が世界第2位の経済力を持ち、国際政治の舞台にアメリカに次ぐ大国として登場し、一方、中国とならんでBRICsの一つに挙げられ、その経済の急成長が期待されたロシアは成長が鈍化し、その国際的地位も揺らぎ始めている点にあります。ロシアは、日ロエネルギー協力を推進するなど、アジア・太平洋市場への新規参入を通じた、経済の活性化と国際的地位の向上を目指しています。他方、中国においては農村余剰労働力の枯渇と賃金上昇にみられるように、その経済発展も曲がり角にきており、中国の労働力・ロシアの資源・日韓の資本と技術など、各国の相互補完関係が強調された時代が去り、今日では、日中韓の熾烈な企業間競争に示されるように、むしろ競合し牽制しあう部分が顕著になりつつあります。

その反面で、日中韓の自由貿易協定交渉が始まり、日本のTPP交渉参加に韓国も続く構えを見せるなど、自由貿易の一層の発展も模索されています。こうした努力は、北東アジア各地で行われる、工業製品やエネルギーや食料の生産、環境の破壊と保護、モノや人の移動・交流などが世界経済に与えるインパクトの大きさを考えると、きわめて重要であり、北東アジア各国・地域が多面的に緊密な協力を進めることの意義がますます高まってきたと言えます。また、中国東北部やロシア極東地域において国家主導の地域発展政策が展開されつつあり、それへの国際協力の可能性も示唆されています。同時に、新潟をはじめ北東アジア各地において、個々の企業、地方自治体、研究機関などが主体的に進める経済交流や国際協力の取組も活発になってきました。このような取組は、北東アジア地域における経済交流の量的拡大に寄与するのみならず、多面的・重層的関係の形成という質的変化をもたらそうとしています。

また、北東アジアでは発展の負の側面も注目されます。国内的には、中国やロシアにおける顕著な所得格差と地域格差の問題、日本や韓国で際立つ高齢化と世代間格差の問題の深刻化が予想されるとき、北東アジア地域における経済社会の安定的発展の実現が問われています。さらに国際政治面でみると、かつては弱体で植民地支配を受けた国が、経済力をつけて国際政治の舞台に登場し、ナショナリズムと拡張主義の傾向を強め、国際紛争が発生する、このような現象が散見されます。軍事衝突を回避し、日本海を波静かな平和な海に保つためには、安全保障の問題に注意を払う必要があります。総じて、北東アジア各国の地政学的位置の変化を看過できません。

このように北東アジアの経済社会は、発展の新たな局面、すなわち質的転換期に入ったと考えられます。この中期計画では、その新たな局面を対象としつつ、調査研究、相互利益に結びつく経済交流などを推進して参ります。

以上のような観点に基づき、2014年度から2018年度のERINAの基本的な活動指針となる中期計画を定めました。北東アジア研究におけるERINAの拠点性を高めること、および北東アジアと我が国地域社会との橋渡しの役割を高めること、研究にもとづいて政策を模索し、それに資する情報を提供すること、そして北東アジアにおける経済社会の研究と経済交流の発展のための、世界ONLY-ONEのシンク・アンド・ドゥタンクとなることを目標に掲げました。

 

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 基本方針とその達成手段

 1. 北東アジア研究拠点への成長

(1)研究ハブ機能のさらなる強化

ERINAは国際共同研究センターを設置するなど、国内外における北東アジア経済研究ネットワークのハブを基本的に形成しました。この基礎の上に、

  • 国の内外、中央や地方の研究機関、大学など、各レベルの研究組織との連携をさらに深めるとともに、研究交流、共同研究などを推進し、国際共同研究センターの発展に努めます。
  • 国際機関、中央省庁や地方自治体の関連部署、民間などの実務社会と学術界との双方向の知的交流の接点となり、国内外のERINAに対する期待に応えます。
  • マスメディアや電子媒体などを利用した広報活動や、国際会議ほか各種セミナーなどの開催により、北東アジアの新たな動向への市民の理解を深めます。
(2)多国間協力の推進

北東アジアにおける人的ネットワークの充実や国際会議の開催を通じ、これからの多国間協力事業の推進に寄与します。このため、

  • これまで培ってきた研究交流ネットワークをより強化し、研究者の往来や交流をさらに増加させることにより、調査研究と議論を積み上げ、多国間協力に係る現場に根ざした政策提言を行います。
  • 「北東アジア経済会議」から「北東アジア経済発展国際会議」に至るこれまでの国際会議を継承し、内外の国際会議の場を活用して、北東アジア多国間協力の人的ネットワークを拡大します。
(3)研究人材育成・知的基盤の充実

多様化、複雑化する諸課題の下で持続可能な発展を目指す北東アジアにおいて、それを担う研究者などの人材育成、キャパシティ・ビルディングに寄与します。このため、

  • 北東アジア域内の研究機関などとの研究交流事業を通じて、経済・社会などさまざまな分野における域内の知的基盤の充実を図ります。
  • 外国人研究者の招聘制度の充実を推進します。
  • 北朝鮮の国際社会参加を想定し、そのために必要な知的基盤の整備に関わる事業の充実に力を入れます。
  • インターンシップの受け入れ、教育プログラムの開発・展開などにより、北東アジアに関わる人材育成を推進します。

2. 調査研究・政策提言の深化

(1)分野研究や地域研究の独自性・先行性を追求

ERINAは北東アジアに関する独自・先行的な研究を行う研究機関として、国際的地位の確立を目指します。このため、

  • 分野研究(各国経済事情、エネルギー、物流、貿易システム、労働人口移動など)は、北東アジアにおける多国間連携、安全保障などに関わるものとして、国内外の北東アジア研究を牽引できるよう研究内容を深化させます。
  • 地方経済や地域開発の調査・研究(貿易・投資、物流、観光など)にあたっては、その成果を地域社会へ還元することを意識しながら、新しい切り口・視点からの分析を行います。
  • 北東アジア研究におけるこれまでの蓄積を活かしながら、北東アジアが直面している新局面を念頭に置き、東アジア、東南アジア、中央アジア、南アジアなど周辺諸国・地域との比較の視点を取り込みつつ、国際政治や安全保障など隣接分野の研究者との共同研究を目指します。
(2)現場に根ざした研究とその成果を世界へ

北東アジアの地域と経済協力の現場に根ざし、かつ多国間にわたる調査研究を踏まえて、しかるべき政策のあり方を検討し、その内容を北東アジア各国や世界に向けて提供します。このため、

  • 北東アジア各国における中央および地域レベルの研究機関、地方自治体、経済団体・企業との議論や研究協力などを重ねて、現実的な政策の策定に資する構想を提示するよう努めます。
  • それぞれの調査研究成果やその政策含意が持つ社会的意義に応じ、ERINAREPORTや北東アジア研究叢書、英文学術誌などERINAの出版物および北東アジア内外の各地における国際会議での発表、その他出版や各種電子媒体による公表など、適切な手段を通じて広く社会に提供します。

3. 経済交流・地方経済振興の推進

ERINAは経済交流支援センターとして、地域間経済交流の活性化と地方経済の振興に寄与する“ドゥタンク”の役割を果たします。

(1)経済交流を通して北東アジアの安定と発展に寄与

経済交流・地方経済振興においては、以下を長期的な基本ビジョンとします。

  • 北東アジア地域内の相互理解と緊密な経済関係(地域企業間を中心とする)の構築を牽引し、地域の安定と発展に寄与します。
  • 経済交流部門の基本機能である「情報とビジネスマッチングの拠点(Info Hub+Biz Hub)」と、ERINAが有する「多言語に精通する人材」および「国内外の人的ネットワーク」とを活用して、「北東アジア地域経済連携(Regional Economic Partnership)」の構築を目指します。
  • 域内のヒト・モノ・カネ・サービス・技術などの交流促進、さらに地域内の貿易・投資の推進、多国間経済プロジェクトの企画・実現に努めます。
 (2)経済交流の域内連携を推進

長期的な基本ビジョンを目指すプロセスの中で、次の中期的な課題に取り組みます。

  • 域内の研究・経済交流関連組織とのネットワーク(域内多極連携)を確立し、地域経済交流の担い手としての機能を強化します。
  • 経済交流事業の深化・拡大を図り、受益者と時代のニーズの反映(質の高いサービスの提供)に努めます。
  • 地域の国際化に繋がる潜在力の高度化推進を支援し、域内の貿易・投資の量的・質的拡大と技術などの協力の牽引に寄与します。
(3)啓発的・創造的事業を開拓

中期的課題は、次に示す手段によって達成することを目指します。

  • 事業の実施において、事業と目標の優先度・重要度を評価し、効率的運営を図り、先駆的・啓発的・創造的スキームを開拓し、併せて総合的・系統的な事業への取り組みを推進します。
  • 対外的には、出捐団体との連携および地域内連携(人脈・情報ほか)の強化を図り、関連各国(地域)においてERINA事業の補佐・支援者を育成し、地域内の政府・民間との協力により経済関係抑制要因の除去に努め、ビジネス交流の促進に繋がる措置の実施を図ります。

4. 情報センター機能の充実

(1)国際共同研究センター運営の円滑化

2011年に設立した「国際共同研究センター」は、共同研究ネットワークのハブとしていっそう信頼されうる運営を目指します。このため、

  • それぞれの研究コンセプトについて、センター内外の研究ネットワークにおける共有化を徹底するなど、共同研究の円滑な実施に貢献します。
  • 国立情報学研究所の目録所在情報サービスおよび相互貸借サービス(NACSIS-CAT/ILL)の導入検討を含め、幅広く利用可能な情報インフラの整備を推進します。
  • 外国人招聘研究員をはじめ、専門家・研究者やERINA関係者の人的ネットワークの運用を通じて情報発信力を高めます。
(2)情報提供の質的向上

ERINA REPORTなど数々の情報提供については、従来にも増して発信・提供する情報の充実と質的な向上を目指します。このため、

  • 出版物の品質の向上を実現する仕組みづくりを目指します。
  • ホームページを再構築し、利便性の向上に努めます。
  • 構築した人的ネットワークを通じ、積極的・効率的な情報提供を行います。
  • 「北東アジア経済情報データベース」としてデータの蓄積・共有化を進め、広く効率的に活用できるようにします。
(3)国際会議・セミナーの充実

国際会議や各種セミナーは、それぞれの開催目的・趣旨を踏まえ、いっそう満足度の高いものとなるよう、綿密な運営を心がけます。このため、

  • 国際会議は、社会的にインパクトの強い内容となるように幅広く関係機関などに働きかけます。
  • 国際会議の一層の充実のため会議運営の熟練の向上に努力します。
  • 各種セミナーは、出捐団体、賛助会員、経済界などに寄与するものとして、日頃から内容の充実を図り、開催にあたっては関係機関との協力も深めます。

5. 公益性・効率性の高い組織・運営

(1)的確な管理・運営の遂行

1から4に掲げた基本的な方針を確実に実現するために、ERINAは公益性、中立性を基本においてその業務を実施します。このため、

  • 組織の運営のあり方を明確にし、財団の的確な運営を実現します。
  • 安定的な財政基盤の確立を目指します。
  • 科学研究費補助金を含め、積極的に外部助成金の獲得を目指します。さらに、公益性を損ねない範囲で受託調査などを実施します。
  • 賛助会員へのサービスの質の向上など賛助会制度の適切な運営と拡大に努めます。
(2)人材の育成と所内連携の強化

北東アジアの現場に根ざした諸事業を遂行するため人材の育成に注力するとともに、執務環境の充実と所内連携の強化を推進します。

(3)事業評価システムの導入

公益財団法人に求められる法令・規則などの遵守を徹底し、説明責任を果たすとともに、中期計画を着実に推進します。このため、

  • 中期計画を踏まえて、毎年度の事業計画を策定、実施します。その上で、試行段階の事業評価システムの改善を図り、その結果を公表します。
  • 事業評価結果を、その後の事業展開に生かしていきます。

 

過去の中期計画

ERINA中期計画<2009-2013> [181KB]

ERINA中期計画<2004-2008> [224KB]