中期計画
ERINA第4期中期計画<2019-2023>
激動期を迎えた北東アジア地域とERINA
ERINAは1993年10月に設立されました。1993年とは、旧ソ連の崩壊により東西冷戦が終結した直後で、多数の旧東側諸国が社会主義経済から市場経済に移行しつつあった時期です。北東アジアにおいても、中国がすでに改革開放政策の下で「社会主義市場経済」への漸進的な移行を進めていたところ、ロシアとモンゴルが「ショック療法」と呼ばれる急進的な市場経済化に乗り出しました。北朝鮮は明確な市場経済化をめざさなかったものの、東西ドイツの統合から、朝鮮半島の南北統合の可能性が連想されました。開放的な国際貿易・資本取引を通じた各国間の経済交流が拡大し、地域的な「経済圏」が形成されると期待されました。ロシア極東とモンゴルの天然資源、中国東北三省と北朝鮮の労働力、日本と韓国の資本・技術を組み合わせることで、各国経済の間の補完関係がウィンウィンの協力をもたらすと考えられたのです。こうした時代を背景にして、ERINAは「環日本海(=北東アジア)経済圏」の形成と発展という壮大なビジョンを掲げ、域内各国経済の調査研究を行い、日本と同地域との経済交流を促進するシンクタンクとして発足したのです。
この25年の間に、ERINAは北東アジア経済に関する調査研究、経済交流、情報発信の拠点としての基礎を固めてきました。とくに国際会議や共同研究をはじめとする相互交流によって構築された人的ネットワークは、国の内外に及び、ERINAは北東アジア経済研究の代表的な機関として評価されるようになっています。北東アジア地域を国別・分野別あるいは日本との二国間関係として分析するだけでなく、地域全体を包括的に多国間の相互依存の場として、あるいはグローバル経済の中の北東アジアとしてとらえるというERINAのアプローチが極めて有効だと認識されてきたといえます。
2004年からは、ERINAの活動目標を明示し、事業の効果を高める目的で、5カ年にわたる中期計画を導入しました。第1期中期計画<2004-2008>では、ERINAの役割を「情報センター」、「調査研究センター」、「経済交流支援センター」に整理し、「多国間・多地域間プロジェクトの推進」、「調査研究・政策提言」、「地方間交流と地域経済振興」の三つを基本方針に掲げ、活動してきました。ERINAの目標や機能についてのこのような基本的な枠組みは、第2期中期計画<2009-2013>、第3期中期計画<2014-2018>にも引き継がれ、現在に至っています。
しかしこの間、北東アジア地域は大きく変容してきました。その第一は、日本が「失われた20年」という長期の経済停滞に陥り、少子高齢化や政府債務の累積に悩まされ、地方経済の活性化が喫緊の課題になったことです。第二に、中国がめざましい経済発展を遂げ、2010年には日本を抜いて世界第二の経済大国になり、広域経済圏構想「一帯一路」の構築を進め、アジアや世界でのプレゼンスを高めてきました。第三は、韓国が1997-98年の金融危機に際し構造改革に取り組み、ハイテク部門を中心に成長を遂げましたが、格差拡大や少子高齢化の問題に面しています。第四は、ロシアとモンゴルが資源価格の上昇により急速に成長しましたが、逆に資源依存による経済の不安定性も目立っています。ロシアは加えて、クリミア半島併合とウクライナ東部の紛争介入を巡り、欧米による経済制裁に面しています。第五は、北朝鮮が2000年代後半から核実験やミサイル開発を行い、北東アジアの安全と平和を脅かすようになりましたが、2018年6月に歴史的な米朝首脳会談が持たれ、事態の好転が期待されているところです。第六は、米国のトランプ大統領の下で同年、米中貿易戦争が始まり、経済・技術・政治・軍事覇権をめぐる競争にひろがりつつあり、北東アジアをとりまく貿易・経済・政治環境の不確実性が高まったことです。
北東アジア地域は今後も着実な成長と発展を遂げていくものと考えられますが、上記のような地域内外の変容は、この地域における下方リスクの高まりを示唆しています。たとえば中国では金融不安定性の兆候が表れており、所得格差・地方格差や環境問題も深刻化しており、かつ対米貿易・経済戦争が激化することで、成長率が大幅に低下するリスクに面しています。あるいは、「一帯一路」の建設が相手国の債務問題を深刻化するなどの問題も指摘されています。北朝鮮と米国との間の軍事的な緊張は一時期と比べると緩和していますが、非核化問題を巡っては米朝間の認識の違いがあり、朝鮮半島における軍事紛争の可能性が完全になくなったわけではありません。また、ロシアと欧米との利害対立が深刻化して、両者の間の緊張関係がさらに高まる可能性もあります。
しかし、このことは同時にこの地域が上方の成長機会に面していることも意味します。中国が着実に供給側の構造改革を進めて国内金融問題、環境問題や格差問題に対処し、米国との間の貿易戦争や経済・ハイテク覇権競争を国際協調的なかたちで管理していくのであれば、持続的な成長・発展が望めます。また「一帯一路」構想が参加国の経済的な便益を高めるものであれば、それは北東アジア地域の発展にも大きく貢献します。北朝鮮が非核化を遂げ、経済改革・対外開放路線をとって国際社会の一員として北東アジアの地域経済協力に加わるようになれば、この地域全体がダイナミックに動き出し、経済統合が大きく進む可能性があります。あるいは、ロシアが国際協調路線に復帰し、日ロ経済協力が十分進めば、ロシアと日本・中国・韓国との間の経済的な相互依存関係が大きく進展する可能性があり、北方領土の返還や日ロ平和条約への道も開けます。
このように、北東アジアは下方リスクと上方機会の両者の可能性を秘めている地域であり、その意味で激動の地域だと言えます。ERINAとしては、激動期に入った北東アジア地域経済の新たな課題に取り組むべく、調査研究、経済交流、情報発信の国際的な拠点として、その活動を一層深めていきます。とくに、北東アジア地域を取り巻く内外の環境変化がもたらす各国経済や相互依存の変容について留意しつつ、地域全体の包括的な経済分析と多国間協力・地方間協力の促進を図り、効果的な情報発信の機能を高めていきます。同時に、北東アジア地域内外のシンクタンク、国際機関、大学などとの連携・交流を強化します。ERINAが毎年開催するフラッグシップ・イベントである「北東アジア経済発展国際会議(NICE)イン新潟」の役割をさらに強化し、様々なかたちで関係各国の中央・地方政府や国際機関に向けて、北東アジア地域のとるべき戦略的な方向についての政策立案に貢献します。公益性・効率性の高い組織運営をめざし、支援をいただいている出捐団体や賛助会員をはじめとする多くの関係者の方々の期待に応えていきます。
以上のような観点に基づき、第4期中期計画<2019-2023>の基本的な活動指針を定めました。調査研究、経済交流支援、情報発信の三つの活動を有機的に結び付け北東アジア地域の平和・安定・繁栄に貢献すること、北東アジア諸国と我が国とりわけその地方社会との橋渡しの役割を強めること、北東アジア経済の調査研究における包括性と先端性をさらに深めること、現場に密着した調査研究と経済交流に基づく知見を政策立案につなげ、質の高い情報を効果的に発信すること、そしてそれらを通じて世界ONLY-ONEのシンク・アンド・ドゥタンクとして国内外での拠点性をいっそう強化することを目標として掲げ、中期計画を定めました。
2019年2月
ERINA代表理事・所長 河合正弘
【ERINAの目的】
北東アジア地域の持続的発展と経済統合、及び我が国の地方経済の振興
調査研究、経済交流支援、情報発信を通じた北東アジア地域の平和・安定・繁栄への貢献
【第4期中期計画の期間】
2019年4月から2024年3月
【基本方針】
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【第4期中期計画<2019-2023>の概観】
調査研究、経済交流支援、情報発信の三つの活動の有機的な統合により、北東アジアにおけるシンク・アンド・ドゥタンクとしての拠点性を強化するとともに、多国間の産官学協力を推進し、国際人材の育成と知的基盤・人的ネットワークの増進に努めます。調査研究は、専門家や政策立案者に向けて、深化と貢献をめざします。経済交流支援は、地方企業・自治体・経済界に向けて、我が国の地方経済振興の推進をめざします。情報発信は、国際社会・地域社会に向けて、その機能の高度化をめざします。これらの事業や中期計画の達成度を評価しながら公益性・効率性の高い組織運営を行います。 |
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北東アジアにおけるシンク・アンド・ドゥタンクとしての拠点性の強化
(1)多国間の産官学協力の推進拠点としての機能の増強
従来の活動を経て培った国内外の官民の諸機関との協力関係を活用して、北東アジアにおける多国間の産官学協力の推進拠点として、地域の平和・安定・繁栄に貢献します。
- 「北東アジア経済発展国際会議(NICE)イン新潟」をはじめ、北東アジア経済協力に関わる幅広い関係者が参加する、質の高い国際会議、シンポジウム、セミナーを継続して主催し、相互の知的交流を通じた新たな価値の創造を目指します。
- 国連アジア太平洋経済社会委員会(ESCAP)、アジア開発銀行(ADB)、大図們江イニシアチブ(GTI)など、北東アジア地域協力を推進する各種国際機関と積極的に連携して、ERINAの拠点機能の強化に寄与します。
- ERINA主催の国際シンポジウム、セミナー、ワークショップだけでなく、国内外の交流協定締結機関やその他の研究機関・教育機関等と連携して、質の高いイベントを実施します。
- 出捐団体や交流協定締結機関等が実施する産官学連携の経済交流事業を支援し、またこれらの事業の相互連携を仲介します。
(2)調査研究、経済交流支援、情報発信の三つの活動の有機的な統合
調査研究、経済交流支援、情報発信の三つの活動を有機的に統合することで、ERINAの強みを生かしたシンク・アンド・ドゥタンクとしての拠点機能を強化します。[1]
- 調査研究部門は、純粋な経済分析を行うだけでなく、現実を踏まえた効果的な政策立案につながる分析を行うためにも、現場の動きを反映する経済交流支援部門との連携を強化します。
- 経済交流支援部門は、より効果的な交流支援事業を実施するためにも、調査研究部門と連携して、新たな調査研究を提案する一方その成果を活用します。
- 情報発信部門は、調査研究と経済交流支援で得られた質の高い情報を効果的に発信し、同時に有用な調査分析や情報収集を調査研究・経済交流支援部門に提案していくことで、ERINAの機能を高めます。
(3)調査研究と経済交流のための国際人材の育成と知的基盤の増進
激動期を迎えた北東アジアの経済発展や経済交流を支える国際人材の育成と知的基盤の増進に努めます。
- 共同研究員制度および招聘外国人研究員制度により、国内外の研究者による北東アジア経済分析の質の向上を促すことで、国際人材の育成や知的基盤の増進を図ります。
- 様々な行政機関や経済団体等が実施する各種シンポジウムやセミナーでの講演・発表を通じて、調査研究や経済交流支援の成果を社会に還元します。
- 北東アジアに関わる各種の経済・ビジネス情報を体系的にデータベース化し、インターネット等を通じて公開していきます。
- 北朝鮮の国際社会参加を想定し、そのために必要な知的基盤の増進につながる能力構築事業を実施します。
- インターンシップ学生の受け入れや教育機関での授業・講義を通じて、あるいは自治体、民間企業、教育機関、研究機関などからの人材受け入れの形での研修プログラム実施の可能性を探ることで、次世代の国際人材の育成に努めます。
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調査研究の深化と政策立案への貢献
(1)北東アジア地域の包括的・先端的な調査研究の深化
北東アジア地域の各国経済や相互依存の変容に焦点を当て、地域全体の包括的・先端的な経済分析を深めます。
- 調査研究の成果を学術誌や専門書籍に公表し、専門分野での独創的・学術的な貢献を強化します。
- 経済成長、地域経済統合、地域協力拡大のためのカギとなる課題(経済構造改革、経済連携、国際的な連結性、エネルギー協力・温暖化対策など)を特定し、多国間・二国間・地方間の関係を重視しつつ、研究テーマの設定を行います。また、グローバル経済の中の北東アジアという視点から、北東アジアとその他地域との比較分析や相互依存関係に関する分析も行います。
- 地域社会や政策立案者から求められる調査研究ニーズを把握し、それに柔軟に対応できる態勢つくりをめざします。そのために、ERINAスタッフによる調査研究だけでなく、外部人材(経済学分野だけでなく、政治学、社会学、自然科学など幅広い分野の研究者を含む)との連携を深めます。
(2)効率的な調査研究を通じた社会貢献
限られた資源の下で最大限の成果を上げるべく、外部人材や外部資金等を活用した効率的な調査研究に努め、その成果を社会に還元します。
- 研究交流協定、共同研究員、招聘外国人研究員の各制度を活用しつつ、国内外の研究者・研究機関との共同研究を推進します。外部の研究機関等が実施する共同研究にも、優先度の高いものについては積極的に参画します。
- 科学研究費補助金など外部研究資金の獲得や、ERINAの研究テーマに密接に関連する課題での調査受託などを目指します。とりわけ調査受託は単なる外部資金の活用という意味だけでなく、調査研究ニーズを把握する手段の一つとして重視していきます。
- 各種の研修プログラムや在外研究制度を活用して、研究職スタッフの資質向上に努めます。
- 高等教育機関・研究機関等との間での人材交流プログラム創設の可能性を探ります。
- 調査研究の成果が社会で最大限活用されるよう、産業界、政策立案者、青少年層、マスメディアなどターゲットごとに、それぞれに適した媒体や機会を選択して発表します。
(3)各国政府(中央・地方)や国際機関に向けた政策立案機能の構築
シンク・アンド・ドゥタンクを掲げる研究機関として、北東アジア地域の政策立案にも貢献することを目指します。
- 調査研究は、純粋な経済分析を行うだけでなく、北東アジア各国や地域にとっての政策的な含意を得ることを一つの重要な目的とします。
- 北東アジア地域のとるべき戦略的な方向について、調査研究と経済交流に基づく現実的な政策立案に貢献することに努めます。
- 調査研究ニーズを把握し、かつその成果を各国政府(中央・地方)や国際機関の政策立案に反映させるべく、政策策定過程の様々な段階に積極的に関与します。
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経済交流支援と我が国の地方経済振興の推進
(1)経済交流の促進に向けた質の高い情報の収集・提供
北東アジア地域の経済・社会の最新動向や幅広い分野での質の高いビジネス関連情報を収集し、分かりやすく提供します。
- 幅広く質の高い情報の収集に向け、情報収集源としての国内外の組織的・人的ネットワークの拡大と深化を図ります。
- 国内外の会議や見本市等のイベントを取捨選択しつつ自ら参加するとともに、関連企業や団体に参加を推奨します。
- 北東アジア地域の基礎情報やビジネス関連情報(経済情勢、貿易、見本市・商談会等イベントなど)を「見える化」し、ERINA内で蓄積するだけでなく、電子媒体などを利用して効果的・即時的に提供します。
- 最新の北東アジア情勢と企業ニーズを踏まえたビジネスセミナーを開催するとともに、他団体が行うセミナー等に協力し、積極的に広報・周知を行います。
(2)出捐自治体や民間団体との連携をテコにした地方間協力の促進支援
出捐自治体や民間団体が行う北東アジア交流事業・イベントを積極的に支援し、ドゥタンクとして地方間交流の促進に貢献します。
- アンケート調査等の実施により地方間協力のニーズの把握に努め、支援策の提案や事業協力を行います。
- 出捐自治体における経済関連団体との連携を強化し、相互協力・支援に努めることにより、それぞれが行う事業効果の引き上げを図ります。
- 北東アジア地域の経済交流の底上げに向け、出捐自治体や民間団体との人事交流を視野に入れた連携の強化を図ります。
(3)民間企業の海外展開や地方ビジネス交流を通じた地方経済振興
北東アジア地域におけるドゥタンクとして、各国企業が相互に参入しやすいビジネス機会の創出に努めるとともに、企業のビジネスマッチングや海外展開に向けた支援活動を通じて、地方経済の振興に寄与します。
- 国内外の関係機関・団体との情報共有と適切な役割分担により、企業に最適な支援メニューを提供しうる相互補完体制の構築を目指します。
- 国内外の企業やビジネス界のニーズを的確に把握しながら、海外での見本市、商談会、産業視察等への派遣やアテンドを行うとともに、訪日代表団・企業の本邦企業視察や商談会をアレンジします。
- 「国際人材フェア」を継続開催し、企業の海外展開・グローバル化の支援と来日留学生に対する就職機会の提供に取り組むとともに、この事業を通じて得られた知見・ノウハウを基に、他団体が行う外国人材活用に向けた取り組みを支援します。[2]
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情報発信機能の高度化
(1)収集情報の効果的な発信
『ERINA REPORT (PLUS)』をはじめとする出版事業やホームページ等による情報提供を更に充実させ、国際社会・地域社会に向けて、効果的な情報発信を行います。
- 北東アジア地域経済に関する独自かつ質の高い情報を継続的に発信するとともに、所内論文・書籍や提供情報の英語での発信強化に努めます。
- マスメディア等を通じた一般向けの情報発信を強化します。
- 情報を提供するさまざまな既存の情報公開ツールを積極的に活用しつつ、新しい情報通信技術(ICT)をホームページやブログなどのソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)、メールマガジン発信等に柔軟に取り入れ、効果的な情報発信に努めます。
(2)魅力的な国際会議、シンポジウム、セミナーの企画
国際会議、シンポジウム、各種セミナーの魅力を高めるべく、これらのイベントの目的や役割を不断に見直すとともに、ERINA内各部門や外部の関係機関との連携を深め、内容の充実に努めます。
- 会議のペーパーレス化、インターネット会議など、ICTを活用した新たな国際会議の運営手法を導入するように努めます。
- 社会情勢の変化に応じた適切なテーマ設定により、幅広く関心を引き起こす魅力的なシンポジウムやセミナーを企画し開催することに努めます。
(3)国内外の人的ネットワークの拡大と有効活用
調査研究と経済交流に関わる国内外の人的ネットワークを管理かつ拡大しつつ、有効活用を目指します。
- 共同研究員、招聘外国人研究員、経済交流関係者、国際会議参加者をはじめとする国内外の人的ネットワークを重要な資産として管理・拡大し、その有効活用に向けた取り組みを行います。
- 国内外の人的ネットワークを通じて、ERINAの研究・経済交流成果を国内外に広めていきます。
- 国内外の人的ネットワークを活かした各種の情報発信により、発信力を高めます。
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公益性・効率性の高い組織運営
(1)事業の公益性と効率性の追求
公益財団法人に求められる法令・規則などの遵守を徹底し、説明責任を果たします。また、限られた資源の下で最大限の成果を達成すべく、ERINAが競争力をもつ活動分野に焦点を当てることで事業実施の効率性を高めます。
- 評議員会と理事会によるガバナンスの下で、必要に応じてERINAの定款や規程などを適切に改訂し、社会の新たな公益上のニーズに柔軟に対応します。
- 調査研究と経済交流支援の各事業の成果を公開するとともに、様々なかたちで社会に還元します。
- シンク・アンド・ドゥタンクを標榜する独自性の高い研究機関として、ERINA内の各部門間の連携を強化し、調査研究、経済交流支援、情報発信の三つの活動を有機的に統合させて事業成果を高めることに努めます。
(2)国際人材の育成と知的基盤・人的ネットワークの増進を支える仕組みづくり
ERINAスタッフを国際人材として育成するとともに、その最大の資産である知的基盤(調査研究、国際シンポジウムやセミナー、経済交流支援の成果)と人的ネットワークを増進させるための仕組みづくりに努めます。
- 各種研修事業、人事評価制度、外部機関(教育・研究機関や自治体・民間団体など)との人事交流などを通じてERINAスタッフの人材育成を図ります。
- ERINA内に知的資産担当者を配置し、各部横断的に知的基盤や人的ネットワークのデータ化等を進めるとともに、ERINAの知的資産を守ることに努めます。
(3)効果的な事業・人事評価制度の実施
中期計画に基づく各年度の事業・人事目標とその成果・効果を定性的・定量的に評価し、その後の事業・人事計画の策定に活かします。
- 毎年度の事業評価を通じて、事業の妥当性・有効性・効率性と中期計画の各方針の達成度を検証し、その結果を評議員会・理事会に報告するとともに、次年度以降の事業計画の策定・実施に活かします。
- 新たに人事評価制度を導入して、ERINAスタッフの人材育成に資するとともに、次年度以降の人事計画の策定に活かします。
[1] 北東アジア経済社会分野における世界ONLY-ONEの研究所に高めることを目的に2011年度、ERINA内に「国際共同研究センター」が設置された。その後、ERINAの活動全体が国際共同研究センター化していったことから、第4期中期計画では、同センターを発展的に解消することとする。
[2] 「国際人材フェア」とは、新潟県内の来日留学生に対する地元企業への就職をめざした面接の機会を提供し、企業の海外展開にも資することが期待されるERINA独自の事業である。2005年に開始された。