国際人材フェア・にいがた2019
ERINAは2018年6月2日(土)、朱鷺メッセ(新潟市中央区)において、新潟県内企業と外国人留学生を対象とした就職相談会「国際人材フェア・にいがた2019」を開催した。本事業は、地方における留学生向け就職相談会として2005年にスタートし、今年の開催は14回目となった。今回までの開催実績は以下の通りである。
今年度は、参加企業35社、参加留学生96名であった。
年度 | 開催日 | 会場 | 参加企業 | 参加留学生 | 内定者数 |
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2005年 | 10月28日(金) | 長岡商工会議所 | 9社 | 60名 | 5名 |
2006年 | 10月27日(金) | 新潟市民プラザ | 9社 | 53名 | 2名 |
2007年 | 9月21日(金) | 新潟市民プラザ | 14社 | 47名 | 3名 |
2008年 | 5月21日(金) | 新潟市民プラザ | 18社 | 69名 | 6名 |
2009年 | 5月22日(金) | 新潟市民プラザ | 8社 | 47名 | 1名 |
2010年 | 5月21日(金) | 新潟市民プラザ | 22社 | 59名 | 1名 |
2011年 | 6月23日(木) | 新潟市民プラザ | 19社 | 85名 | 4名 |
2012年 | 6月29日(金) | 新潟市民プラザ | 19社 | 86名 | 6名 |
2013年 | 5月30日(金) 6月8日(土) |
新潟市民プラザ アオーレ長岡 |
19社 9社 |
94名 22名 |
4名 |
2014年 | 6月18日(水) | 新潟市民プラザ | 20社 | 85名 | 3名 |
2015年 | 6月18日(木) | 新潟市民プラザ | 27社 | 80名 | 12名 |
2016年 | 6月17日(金) | 新潟市民プラザ | 24社 | 100名 | 6名 |
2017年 | 6月9日(金) | 新潟市民プラザ | 27社 | 81名 | 7名 |
2018年 | 6月2日(土) | 朱鷺メッセ | 35社 | 96名 | – |
延べ | – | – | 275社 | 1064名 | 60名 |
(2018年8月現在) |
開催概要
月日 | 2018年6月2日(土) |
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会場 | 朱鷺メッセ2階 スノーホール 新潟市中央区万代島6-1 |
主催 | 公益財団法人環日本海経済研究所(ERINA) |
共催 | 新潟労働局 |
後援 | 新潟県 |
協力 | 新潟地域留学生等交流推進会議、にいがた産業創造機構(NICO)、 新潟県商工会議所連合会、新潟経済同友会、新潟県経営者協会、 新潟県中小企業団体中央会、新潟県国際交流協会、新潟県行政書士会、ジェトロ新潟貿易情報センター、第四銀行、北越銀行 |
参加者 | 県内企業35社、留学生96名 相談ブース:新潟労働局(外国人雇用管理アドバイザー)、新潟雇用 労働相談センター、新潟県行政書士会、(公財)新潟市国際交流協会(事業紹介コーナー) |
プログラム
13:00 | 主催者代表挨拶 |
13:05 | 留学生向け就職ガイダンス
|
14:00 | 就職相談会
|
17:00 | 終了 |
当日は就職ガイダンスと就職相談会の2部構成で実施した。就職ガイダンスでは、新潟県行政書士会国際業務委員長の南直
人様による留学生の就職に伴う在留資格についての説明があり、その後、留学生の先輩による就職活動の心構えや面接の
準備などの体験談があった。就職相談会では留学生が企業のブースを訪問し、事前に用意したエントリーシート(参加申
込書)を企業に提出して採用担当者から説明を聞いた。
開催結果
(1)企業側
参加企業は35社、地域については新潟市に本社・支店を置く企業が14社で最も多く、次に長岡市が5社、燕市と三条市が各4社、上越市と柏崎市が2社、新発田市、南魚沼市、北蒲原郡聖籠町、南蒲原郡田上町、県外の企業各1社が出展した。ちなみに、県内で事業所を持つ県外の企業も参加した。
業種については製造業が14社で一番多く、建設関連企業が5社、卸売・小売業が4社、飲食・宿泊業、食品加工、ITが各3社、教育関連が2社、運輸業が1社であった。
正社員を募集する企業は28社、正社員あるいは契約社員の採用予定とする企業は7社であった。募集する留学生の語学能力については、英語能力に関連する求人が22社で最も多く、中国語能力に関連する求人が15社、ベトナム語能力に関連する求人が6社、タイ語能力に関連する求人が2社であった。ほかにヒンドゥー語、マレー語、インドネシア語、ビルマ語の求人もあった。
(2)学生側
参加留学生は96名、うち中国からの留学生が44名で、全体の45%を占めた。ベトナム人留学生が17名、モンゴル人留学生が10名、ネパール人留学生が5名、台湾、マレーシア、タイからの留学生がそれぞれ4名、ほかインドネシア、ロシア、パキスタン、エジプト、カザフスタン、カメルーンなどの留学生が参加した。
学校別では、新潟大学の留学生が22名(23%)で最も多く、国際外語・観光・エアライン専門学校15名、事業創造大学院大学13名、上越教育大学11名、新潟産業大学10名、長岡大学6名、長岡技術科学大学4名、敬和学園大学、新潟経営大学、国際大学、新潟工業短期大学、新潟デザイン専門学校、長岡公務員・情報ビジネス専門学校がそれぞれ2名、ほか新潟工科大学、新潟コンピュータ専門学校、日本アニメ・マンガ専門学校などの参加もあった。
参加者のうち、男性は45名、女性は51名で、文系は69名、理系等(未記入を含む)は27人であった。
企業・留学生の感想
参加企業からのアンケート結果によれば、「本日のフェアは有意義でしたか?」という質問に対して、参加企業の29社(85%)は「有意義」と答え、6社(15%)は「有意義ではない」あるいは「わからない」と答えた。また、「本日のフェアで採用したい留学生はいましたか?」という質問に対して、5社(15%)は「すぐにでも採用したい留学生がいた」、23社(70%)は「今後試験や面接を重ねて検討したい留学生がいた」、6社は「いなかった」と答えた。企業における留学生採用の理由(複数選択)については、「社内の多様性を高め職場を活性化するため」と答えた企業が47%で最も多く、次に「留学生の母国への海外事業を開拓・拡大するため」が42%、「留学生の母国に関わらず海外事業を開拓・拡大するため」が39%、「専門能力を有する人材を獲得し事業を高度化するため」が30%であった。国際人材フェアに対する感想については、「思った以上に学生が多く、積極的に(話を)聞いてもらった」、「新潟県内で仕事を探したいという学生がいて嬉しかった」などの反応がある一方、「日本語が分からない学生がいたので、会社説明に苦労した」、「申込用紙(エントリーシート)が提出されず、学生の名前がわからないまま」などの意見もあった。
留学生の感想では、「よく知らない会社について詳しく知ることができ、入りたくなった」、「留学生たちのための開催が良かった」、「在留資格についての話が本当に参考になった。来て良かった」、「本日のフェアで就職できる可能性が高い」などの意見が寄せられたほか、「参加している会社の数が少ない」、「時間を長くしてほしい」、などの意見もあった。
総括
今年の参加企業数は35社で、昨年(27社)より8社増えた。企業からのアンケートによれば、参加した35社のうち、初参加の企業は15社で、その内9社は協力団体の紹介によるものだった。この場を借りて協力団体の皆様に深く感謝する。最近の就職市場は「売り手市場」と呼ばれているが、留学生の就職は人手不足のほか、文化、生活習慣、外国人就労制度、異文化対応、グローバル化競争力などに絡む、非常に複雑な問題である。人手が足りないという理由だけでは留学生の就職率は上がらない。留学生の就職を促進し、定着させるためには行政、経済団体、企業、学校、地域などが一丸となって取り組む必要がある。
昨年は会場のスペースが限られたため、後から申し込んだ企業に対してはキャンセルいただかざるを得なかったが、今年は昨年の経験を踏まえてより広い会場で開催することで場所の問題をクリアした。今後も当事業を継続して、企業におけるグローバル化への支援、人手不足の解消などで役立っていきたい。
留学生に関しては、今回参加した学生の人数は96人で、昨年(81人)よりは増えたものの、参加率が期待するほど高くない状況が続いている。日本学生支援機構(JASSO)によれば、2017年12月の時点で新潟の留学生数は約2200人で、国際人材フェアへの参加率は約4%である。参加する企業の数が年々伸びている一方、学生の参加者数は伸び悩んでいる。参加率が低い理由については「就職活動の方法がわからない」、「就職情報が足りない」、「アルバイトで時間が取れない」など留学生において一般的によくみられる理由のほか、「東京などの大都市圏で就職したい」、「著名企業で働きたい」などの地方ならではの事情もある。特に県外就職志向が目立っており、来場した留学生に対するアンケート調査でも約5割が東京での勤務を望んでいると答えた。実際に留学生から話を聞くと、「新潟で働く」という選択肢が薄く感じられ、「東京で就職する」、「(東京で就職できなかった場合)国に帰る」と語る学生もいた。地元での就職意欲を高めるためには、インバウンド観光客誘致と同様に、いかに地元をPRし、地元の魅力を感じさせ、興味を持たせるかに関わってくる。例えば、企業見学、企業へのインターンシップ、企業との交流会、学生向け企業の情報発信などが挙げられる。今後ERINAとしては国際人材フェアだけではなく、留学生向けの就職関連セミナーへの協力などを通じて積極的に情報発信を行いたい。
内定状況
6社 10名(2018年12月現在)