国際人材フェア・にいがた2023
ERINAは2022年5月15日(日)に朱鷺メッセ(新潟市中央区)で、新潟県内企業と外国人留学生と日本人の留学経験者等を対象とした就職相談会「国際人材フェア・にいがた2023」を開催した。「国際人材フェア」は新潟で学んだ留学生が新潟で就職し定住できるようにと2005年に初めて開催し、今回の開催で18回目となった。これまでの開催実績は表1の通りである。今回は県内企業17社と、県内在学中の留学生52名が参加した。
表1 国際人材フェア開催履歴
年度 | 開催日 | 会場 | 参加企業 | 参加留学生 | 内定者 |
2005年 | 10月28日(金) | 長岡商工会議所 | 9社 | 60名 | 5名 |
2006年 | 10月27日(金) | 新潟市民プラザ | 9社 | 53名 | 2名 |
2007年 | 9月21日(金) | 新潟市民プラザ | 14社 | 47名 | 3名 |
2008年 | 5月21日(水) | 新潟市民プラザ | 18社 | 69名 | 6名 |
2009年 | 5月22日(金) | 新潟市民プラザ | 8社 | 47名 | 1名 |
2010年 | 5月21日(金) | 新潟市民プラザ | 22社 | 59名 | 1名 |
2011年 | 6月23日(木) | 新潟市民プラザ | 19社 | 85名 | 4名 |
2012年 | 6月29日(金) | 新潟市民プラザ | 18社 | 86名 | 6名 |
2013年 | 5月30日(木) | 新潟市民プラザ | 16社 | 94名 | 4名 |
6月 8日(土) | アオーレ長岡 | 9社 | 22名 | ||
2014年 | 6月18日(水) | 新潟市民プラザ | 20社 | 85名 | 3名 |
2015年 | 6月18日(木) | 新潟市民プラザ | 27社 | 80名 | 12名 |
2016年 | 6月17日(金) | 新潟市民プラザ | 24社 | 100名 | 6名 |
2017年 | 6月 9日(金) | 新潟市民プラザ | 27社 | 81名 | 7名 |
2018年 | 6月 2日(土) | 朱鷺メッセ | 35社 | 96名 | 10名 |
2019年 | 6月 8日(土) | 朱鷺メッセ | 28社 | 119名 | 12名 |
2020年 | 9月18日(金) | 朱鷺メッセ | 12社 | 98名 | 0名 |
2021年 | 7月10日(土) | 朱鷺メッセ | 17社 | 74名 | 7名 |
2022年 | 5月15日(日) | 朱鷺メッセ | 17社 | 52名 | 6名 |
計(延べ) | 349社 | 1407名 | 95名 |
※内定者:出展企業へのアンケートによる
■開催概要
月日 | 2022年5月15日(日) |
場所 | 朱鷺メッセ2階 スノーホール(新潟市中央区万代島6-1) |
主催 | ERINA |
共催 | 新潟労働局 |
後援 | 新潟県、新潟地域留学生等交流推進会議、 公益財団法人にいがた産業創造機構(NICO)、 一般社団法人新潟県商工会議所連合会、新潟経済同友会、 一般社団法人新潟県経営者協会、新潟県中小企業団体中央会、 公益財団法人新潟県国際交流協会、 独立行政法人日本貿易振興機構(ジェトロ)新潟貿易情報センター、 株式会社第四北越銀行、株式会社大光銀行 |
相談ブース | 新潟労働局(外国人雇用管理アドバイザー・新潟新卒応援ハローワーク)新潟県国際交流協会(外国人相談センター) |
出展企業 | 県内企業17社 |
参加留学生 | 52名 |
■就職相談会の様子
ERINAから参加留学生に注意事項等の説明の後、就職相談会を開始した。就職相談会では留学生が事前に用意したエントリーシート(参加申込書)を持参し、関心のある企業ブースを訪問し、担当者から企業概要や採用方針などについて説明を聞いた。併せて外国人の雇用に関する相談や就職に関する相談、生活に関する相談を新潟労働局と新潟県国際交流協会が実施した。
就職相談会の様子
相談ブース
■開催結果
(1)企業について
出展企業は新潟県内企業17社、地域については新潟市に本拠地を置く企業が6社で最も多く、次に佐渡市の企業が3社で、南魚沼市の企業が2社、加茂市、三条市、胎内市、燕市、長岡市、出雲崎町の企業が1社ずつ出展した。
業種については製造業が8社、非製造業が9社だった。製造業では、機械、食料、その他製造業が各2社、金属製品、プラスチック製品製造業がそれぞれ1社だった。製造業以外では、技術サービス、宿泊業、卸・小売業がそれぞれ2社、情報通信業、医療福祉業、その他サービス業が各1社だった。
募集する職種については技術開発が6社で最も多く、次に通訳・翻訳が5社、海外取引業務が4社、接客が3社、企画業務、管理業務がそれぞれ2社、情報処理、法人営業、介護職が1社ずつだった。
採用形態に「正社員」を募集する企業は13社(76%)、「正社員あるいは契約社員」、「契約社員」の採用を予定する企業はそれぞれ2社だった。希望要件の語学能力については、英語が10社(59%)で最も多く、次に中国語が6社、ベトナム語が3社だった。そのほか、韓国語、ロシア語、タイ語などを希望する企業もあった。
(2)留学生について
参加留学生は52名、国・地域別では、ベトナム、インド、モンゴルが各9名、中国8名、カンボジア3名、インドネシア、ミャンマーが各2名、パキスタン、香港、ネパール、フィリピン、バングラデシュ、カメルーン、エチオピア、セネガル、ジョージア、ロシアの留学生が参加した。
学校別では、国際大学20名(38%)、新潟産業大学8名、事業創造大学院大学7名、新潟大学と新潟食料農業大学が各3名、上越教育大学、敬和学園大学、長岡技術科学大学が各2名と長岡大学1名、専門学校では、国際外語・観光・エアライン専門学校と新潟ビジネス専門学校が各2名だった。文系45名、理系は7名の留学生が参加した。
■アンケート結果
(1)企業アンケート
出展企業に対するアンケートは17社全社から回答していただいた。感謝申し上げる。「本日のフェアは有意義でしたか」という質問に対して、15社(88%)が「有意義」と回答し、「本日のフェアで採用したい留学生はいましたか」という質問に4社(23.5%)は「すぐにでも採用したい留学生がいた」、11社(84.7%)は「今後試験や面接を重ねて検討したい留学生がいた」と答えた。
企業の留学生採用の理由(図1)は、「優秀な人材を確保するため」が70.6%で最も多く、次に「国際取引など語学力が必要な業務を行うため」が52.9%、「外国人としての感性・国際感覚等の強みを発揮してもらうため」が47.1%と続いた。優秀な人材を確保するために留学生の採用を考える企業が多いことがわかる。
図1 留学生の採用理由について教えてください(複数回答)
留学生の資質や能力で最も重視するもの(図2)は、「日本語能力」が88.2%で最も多く、「コミュニケーション能力」が64.7%、「仕事に対する熱意」、「チャレンジ精神」と続く。コミュニケーションが取れること、仕事に対して真摯に向き合うことを重視していることがわかる。
図2 留学生の資質や能力で最も重視するものを教えてください(複数回答、3個まで)
留学生の就職活動において大学等で指導してほしいこと(図3)は、「日本語能力」が82.4%と最も回答が多かった。留学生の能力で重視することと同様に、企業が日本語能力を重視していることがわかる。
図3 留学生の就職活動において、大学等で指導して欲しいと思うものは何ですか?(複数回答)
出展参加企業17社のうち、過去に留学生を採用したことがある企業14社に、採用後の状況について質問した。
留学生を採用して良かったこと(図4)は、74.1%の企業が「優秀な人材が確保できた」と回答し、企業は希望通り優秀な人材を採用できているのではないかと思う。「会社全体のグローバル化が進展」が57.1%、「日本人社員の異文化・多様性への理解が向上し、社内活性化に繋がった」、「新しいアイデアが生まれた」、「国際業務の拡大や円滑化」の順だった。
図4 留学生を採用して良かったことを教えてください(複数回答)
留学生を採用して苦労したこと(図5)はという質問に対して、「在留資格の変更手続きが煩雑」が57.1%と多く在留資格変更の手続きが企業の課題であることがわかる。「生活面のフォロー」、「意思疎通が困難」などが続く。
図5 留学生を採用して苦労したことを教えてください(複数回答)
そのほかの感想として、「多くの人材と知り合えた」、「様々な学生に会うことができた」、「優秀な学生が多い、バイタリティが高い学生が多い様に感じた」などの感想や運営についてご意見を頂いた。留学生の採用についてはビザの取得についての疑問や文化の違い、生活面のサポートなどの不安を持つ企業があることもわかった。
(2)留学生アンケート
留学生は参加留学生52人のうち16人(30.8%)が回答してくれた。感染症対策もあり、回答方法をインターネットによる回答としている。今後は、回答数を増やす工夫が必要だと思う。回答した留学生全員が「本日のフェアは有意義であった」と回答し、「就職したい会社があった」、「今後、会社情報を収集するなど、就職を検討したい会社があった」と回答している。
日本で働きたい理由(図6)については、「日本語を使って仕事をしたいから」が56.3%で最も多かった。次に「日本企業の人材育成は充実しているから」、「将来日本企業の海外拠点で働きたいから」、「日本企業の技術が高いから」が続く。留学生は在学中に得た日本語能力を活かした就職を希望し、日本企業の人材育成が充実していること、技術が高いなどの情報を得ていることがわかる。
図6 日本で働きたい理由は何ですか(複数回答、3個まで)
就職活動で不安に感じたこと(図7)は、「就職活動の方法が分からない」、「留学生向けの求人が少ない」などの回答が多かったが、「就職活動・勉強・アルバイトが同時進行であるため時間がない」という回答もあった。生活面の改善が必要なのかもしれない。
図7 就職活動で困ったこと、不安に感じたことを教えください(複数回答、5個まで)
そのほか感想として、「企業について詳細を知ることができた」、「自分のような人材が求められていることがわかり、就職活動が有意義になる」などが寄せられた。フェアについては「このフェアで正式な申し込み手続きができるとよい」、「もっと多くの企業に出展してもらいたい」という要望もあった。
■終わりに
出展企業は、昨年と同じ17社だった。留学生採用の理由は優秀な人材を求める企業が多く、日本人学生の採用と同様に考えていると推察できる。留学生の語学能力は日本語、英語を求め、コミュニケーション能力の高い学生を希望していることからもわかる。今回初めて出展した企業や、2度目の企業からは来年度以降の国際人材フェア開催への期待が聞かれた。今後の採用の参考にするために見学に来た企業もあった。
一方で、留学生の参加者は52名で、昨年より22名減少した。大学によっては新型コロナウイルス感染の影響で留学生数が学年によりばらつきがあることも聞いた。参加留学生の国籍について以前は中国の留学生が圧倒的に多かったが、今回はベトナム、インド、モンゴルの留学生で半数を占めた。優秀な人材を求める企業の期待に応えるためにも国籍を問わず参加留学生を増やすことは必要だと考える。
運営の課題や改善すべき点もあるが、企業からの期待や新潟で学んだ留学生の定住のためにこの「国際人材フェア」が継承されることを願う。
■内定状況
6名(2023年1月現在)