国際人材フェア・にいがた2016

「国際人材フェア・にいがた2016」報告書

JOB Fair

ERINAは2015年6月18日(木)、新潟市民プラザおいて新潟県内企業と外国人留学生を対象とした就職相談会「国際人材フェア・にいがた2016」を開催した。本事業は、地方における留学生向け就職説明会として2005年にスタートし、今年の開催は11回目となった。これまでの開催実績は以下のとおりである。

年度 開催日 会場 参加企業 参加留学生 内定者数
2005年 10月28日(金) 長岡商工会議所 9社 60名 7名
2006年 10月27日(金) 新潟市民プラザ 9社 53名 2名
2007年 9月21日(金) 新潟市民プラザ 14社 47名 3名
2008年 5月21日(金) 新潟市民プラザ 18社 69名 6名
2009年 5月22日(金) 新潟市民プラザ 8社 47名 1名
2010年 5月21日(金) 新潟市民プラザ 22社 59名 1名
2011年 6月23日(木) 新潟市民プラザ 19社 85名 4名
2012年 6月29日(金) 新潟市民プラザ 19社 86名 6名
2013年 5月30日(金)
6月8日(土)
新潟市民プラザ
アオーレ長岡
19社
9社
94名
22名
4名
2014年 6月18日(水) 新潟市民プラザ 20社 85名 3名
2015年 6月18日(木) 新潟市民プラザ 27社 80名 12名
延べ 189社 787名 49名
(2015年12月末現在)

本年度は、企業業績の回復基調を背景に、求人率が全般に増加し、参加を希望する企業の数は当初の予想を大きく上回り最終的に27社と過去最高記録になった。一方で、求人率の上昇による売り手市場ともいった状況が予想され、参加する留学生の数が流動的であったが、応募した留学生の総数は100名、内最終的に参加した留学生の総数は80名となり、例年同様の活況を呈した。

実施概要

日時・会場: 2015年6月18日 新潟市民プラザ(新潟市中央区西堀通6番町866)
主催: 公益財団法人環日本海経済研究所(ERINA)
共催: 新潟労働局
後援: 新潟県
協力: 新潟地域留学生等交流推進会議、にいがた産業創造機構、新潟県商工会議所連合会、新潟県経営者協会、新潟経済同友会、ジェトロ新潟貿易情報センター、新潟県中小企業団体中央会、新潟県行政書士会
参加者: 県内企業27社、留学生80名。
新潟労働局(外国人雇用管理アドバイザー)、新潟県行政書士会(在留資格変更手続相談コーナー)

プログラム

留学生体験談

13:00 主催者挨拶
13:10 留学生向け就職ガイダンス

  • 留学資格から就労資格へ変更する際の注意事項
    (東京入国管理局新潟出張所統括審査官 松田一之)
  • 留学生先輩による就職体験談
    (株式会社真友社 彭映)
  • 質疑応答
14:00 就職相談会

  • 留学生が企業ブースを順次に訪問し、県内企業と就職相談を行う。これと並行して外国人雇用に関する相談(新潟労働局)及び在留資格変更手続に関する相談(新潟県行政書士会)を実施。
17:00 終了

開催結果の概要

就職相談会

参加企業は新潟県内の8市にわたり総数27社、うち新潟市に本拠を有する企業が11社で最も多かった。次いで燕市から4社、長岡市、三条市、柏崎市からそれぞれ3社、魚沼市・南魚沼市・見附市からそれぞれ1社であった。業種については建設、金属加工、機械製造、学習塾・学校経営、ホームセンター、旅行・観光、農業、食品、介護事業、印刷、貿易など多岐にわたった。正社員を募集する企業が22社と圧倒的に多数を占め、契約社員を募集する企業は5社のみであった。日本語が日本人と同等並みであることが留学生に対する基本条件であるが、外国語に関しては英語能力を希望する求人が19社で最も多く、中国語能力を希望する求人は9社、ベトナム語能力を希望する求人は5社あった。ほかにハングル語、インドネシア語、ヒンドゥー語、タイ語、ビルマ語、ロシア語など多岐にわたった。

応募した留学生の総数は100名、うち実際に参加した留学生は80名であった。うち中国からの留学生が44名で全体の55%を占めた。次いでベトナムからの留学生が12名、ネパールからの留学生が7名、ほかに韓国、台湾、タイ、モンゴル、ミャンマー、ウクライナ、トルコ、フランス、ロシア、アフガニスタンの留学生が参加し、参加者の国籍は極めて多様であった。学校別では、国際外語・観光・エアライン専門学校19名、新潟大学18名、事業創造大学院大学7名、敬和学園大学6名、長岡大学6名、長岡技術科学大学、新潟産業大学、日本アニメ・マンガ専門学校が各5名であった。他に上越教育大学、長岡公務員・情報ビジネス専門学校、国際映像メディア専門学校、新潟ビジネス専門学校、新潟工科専門学校、新潟農業・バイオ専門学校、国際調理製菓専門学校からの参加があった。なお、近県の高崎経済大学(群馬県)、山形大学(山形県)、東北文教大学(山形県)、富山大学(富山県)の留学生にも参加を募ったが、本年は県内の大学・専門学校の留学生のみが参加する結果となった。参加留学生の男女別内訳は男性41名、女性39名で、ほぼ均等に二分した。

当日は就職ガイダンスと就職相談会の2部構成で実施した。就職ガイダンスでは、東京入国管理局新潟出張所の統括審査官による留学資格から就労資格へのビザ更新手続きについての説明があり、その後、本フェアを通じて新潟企業に就職した元留学生により、就職活動の心構え、面接の準備、新潟企業に就職した動機などの体験談を披露した。就職相談会では留学生が企業のブースを訪問し、事前に用意したエントリーシート(参加申込書)を企業に提出して採用担当者と個別の面談を実施した。

フェア終了後のアンケート集計結果によると、参加企業からは「留学生が日本を良い国で住みたい国と思っている事が大変良い」、「留学生のエネルギッシュな様子に良い刺激を得た」「留学生の話す日本語に日本のグローバル化を感じた」といった肯定的な所感が多数表明された。また、今回のフェアを通じて「即採用したい留学生がいた」「今後更に試験や面接を通じて採用を検討したい留学生がいた」と回答した企業は23社にのぼった。また、来年度も当フェアに参加を希望されるかとの設問に対しては17社(68%)の企業から「希望する」との回答があった。

一方、参加留学生からは、「入国管理局からの説明が非常に参考になった」という意見がほぼ全員から出されている。また、「希望している業界に関し知識を深めることができた」「日本の企業文化を多少理解することができた」「企業の担当者たちと色々意見交換・交流ができた」「留学生の家族は外国にいるので相談相手が少ない中、本フェアは外国人留学生に対し非常によい相談の場になった」「留学生先輩の話は非常に参考になった」「中国語の必要性がよく分かり自信がついた」等の評価が寄せられた。他方で、「もっと外国人を採用した実績のある企業の参加を希望する」「自分には日本語が難しかった」といった意見も出された。

総括

就職相談会

冒頭の表の通り、ERINAが毎年実施しているこの催しはこれで11回目を迎え、参加した留学生の総数は述べで787名に達した。元々新潟県内企業の国際化支援という目的で開始された催しであるが、多くの関係機関の協力を得てERINAの年次恒例事業として定着してきた。参加される企業の業種の広さや外国人留学生に対する採用条件を見ると、もはや日本人新卒者に対する条件と差はなく、それだけ県内企業の国際化は大きく進展してきたといえるであろう。昨今の地方創生の様々な試みの中で、こうした企業の国際化は更に拍車がかかり、外国人留学生への期待も更に高まるものと予想される。

平成26日5月1日現在の日本に居住する外国人留学生の総数は184,155人である(独立行政法「日本学生支援機構」発表)。そのうち、新潟県に居住する留学生の総数は1,618人である(同)。平成26年末において新潟県に居住する在留外国人の総数は13,475人(法務省発表)なので、県民の周辺にいる外国人居住者の12%が留学生ということになる。これは日本全体の比率約10%を上回る。こうした県内の外国人留学生の一人でも多くに新潟県、さらにはそこで生活・就労することに関心を持ってもらうことが重要である。それは県内住民の責務といってよいのではないだろうか。

本事業の推進に際しては、毎年、留学生の一定参加者数の確保が必要あるが、ERINAには日々留学生と直接接する条件がなく、留学生への案内、参加募集はいきおい各大学の国際課あるいは就職課にお願いして、実行していただいている。県内の留学生の絶対数を増やすことも含め、県内各大学の理解と支援を引き続きお願いしたい次第である。

一方、今回のフェアで入国管理局からも説明されたように、日本の法制上 、各種専門学校に学ぶ外国人留学生は日本国内で卒業後短期間の間に就労することが事実上不可能である。労働力の不足が進み、実力主義が標榜される時勢に即し、より柔軟な制度が考案されてよいのではないだろうか。

採用状況

9社 12名