消費楽しむ層も増加

北朝鮮では、金正日政権末期の2010年ころから、首都の平壌や各道(日本の県に相当)の都市に高層住宅や遊園地、ショッピングセンターといった住民便宜施設が多数建設されるようになった(写真は平壌・紋繍(ムンス)遊泳場の室内プール)。特に、2011年に金正恩政権に移行してからはそのスピードが加速している。

これらの建設は、1990年代中盤に餓死者を出すところまで落ち込んだ北朝鮮経済の復活を意味すると言われる。だが、北朝鮮経済はそこまで急によくなったわけではない。金正恩政権は、「人民生活の向上」をスローガンに、経済成長とそれにともなう国民生活の向上を「社会主義文明国」建設と称し、自らの政権の存在意義をかけたプロジェクトとして主導している。

北朝鮮の建設プロジェクトは、北朝鮮が将来、このような社会になるのだ、ということを国民に知ってもらうための広報の意味が大きい。実際にこのような施設に来ている人は、経済的にある程度余裕のある層が多いようだ。とはいえ高官や富裕層でもない。北朝鮮でも、つつましやかではあるが消費を楽しみ、「クール」なものを追い求めるライフスタイルを楽しむ人が増えてきている。このような人々が将来、北朝鮮が経済発展をするにつれ、社会を主導していくようになれば、北朝鮮もより理性的に国際社会と手を携えて発展していく可能性が増すのではないか。

日朝関係は一向に良くならないが、北朝鮮のこのような変化も踏まえて、どうやって北朝鮮を国際社会に引っ張り出すのかを日本の外交の目標のひとつに加えてもよいのではないかと感じた。

平壌・紋繍(ムンス)遊泳場の室内プール

新潟日報エリナレター掲載