野菜栽培へ特区進出

昨年11月にロシア・ハバロフスク地方の先行発展区を訪れた。この「先行発展区」というのは製造業などの誘致を目的に、ロシア政府が極東各地で懸命に進める優遇措置を伴った一種の経済特区だ。訪れた特区はハバロフスク市内という好立地に恵まれ、既に企業の進出が始まっていた。

そのうちの1社はわが国の大手企業グループ(日揮+北海道銀行)と現地企業の合弁による温室栽培施設で、酷寒のもと建設工事はほぼ最終段階にあった=写真=。この事業は温室で野菜を栽培・販売することを目指すもので、企業の直接投資によって実現されるところに大きな意義がある。生産される野菜はトマトとキュウリで年間約1000トン、今春にも販売が開始される予定だ。これはハバロフスク市内の年間需要の約1割程度を占め、日本企業の出資と技術で生産される野菜とあって前評判は上々とのことだった。

ロシアでは現在、多くの農産物の禁輸措置がとられ、国産品の増産と自給体制の確立が進められている。昨年11月末のトルコによるロシア軍用機の撃墜事件を機に、年初よりトルコからも多くの農産物が輸入禁止されている。ロシアは2014年に年間80万トン以上のトマトを輸入し、その最大の供給国がトルコだった。このため、ロシア国内ではトマトの不足と価格の上昇が懸念されている。

こういうロシアの国内情勢の中で日本企業によるトマトの温室生産が開始される。特区進出の最初の事例として、その成功を祈りたい。

先行発展区で

新潟日報エリナレター掲載