経済成長 都会の装い
8月末から9月初めにモンゴルのウランバートルに出張した。12年ぶりに訪れたウランバートルは、高層ビルが増え、人々の装いも東京やソウルとそれほど変わらない。市内には日本料理店のほか、フランス料理、イタリア料理、本格的なデリカテッセン(洋風惣菜屋)などが増えていた。外国料理といえば、韓国料理か中華料理、ロシア料理がメインだった12年前とはかなり違う街になっていた=写真=。それもそのはず、2005年から12年の間に、モンゴルの1人当たりの国民所得は約5倍に増えている。
チンギスカン広場の北東、大学が軒を連ねる地区に行くと、おしゃれな若者たちがスマートフォンをいじりながら街を歩いている。電話料金こそ1分あたり2.3~3.2円、1ヶ月のデータ料金(3ギガバイト、LTE)が760円ほどだが、電話機本体の値段は日本と大差ない。モンゴルでは複数の現地の人に、アップル社のiPhone(アイフォーン)をはじめ、スマホは盗難の危険が高いと言われたが、確かに平均的な月収以上の高級品だ。
今年はモンゴルの民主化25周年で、7月29日に記念式典が行われた。進行する砂漠化や環境汚染、首都ウランバートルと地方、高所得層と低所得層の格差など、解決するべき問題はまだ多い。ウランバートル市内のおしゃれな通りも、ひとかど曲がれば、伝統的な住宅街が残っている。モンゴルがこれからどう変化していくのか、関心は尽きない。
ERINA(環日本海経済研究所) 調査研究部主任研究員 三村光弘
新潟日報ERINAレター2017年10月16日掲載