起業カフェ 期待高く
現在、中国は空前の起業ブームにあるといわれている。現地の報道によると2016年の1年間で新規に登録された企業は1650万件以上。1日あたり4.5万件の企業が生まれている計算になる。起業数は4年連続2桁成長を示しており、起業家に対する投資環境の整備などが背景にあるといわれている。
もちろん起業はリスクを伴うものであり、すべての企業が順調に成長していくわけではないが、アリババやテンセントなど日本でも知られているような会社も起業により誕生している。
こうした起業ブームを支える仕組みの一つに「起業カフェ」と呼ばれる仲介者の存在がある。起業カフェの役割は「孵化(ふか)器」と名付けられたスペースで投資家やメディアと起業家の仲介を行うことや、起業アイデアのコンテストを開催すること、また一部の起業カフェでは企業法や会計上のアドバイスまでを行うところもあるという。
その一つに、インターネット関連産業の起業を支援している「3Wカフェ」=写真=がある。14年に李国強首相がこのカフェを参観したことで有名になった。このように中国政府も起業カフェを経済成長の新しい動力の一つとみなしている。
起業を支える仕組みはさまざまだが、起業カフェの「孵化器」という小さな一室がその一翼を担っている。カフェで孵化した”ひな”たちが将来、世界中を飛び回る渡り鳥になるかもしれない。あるいは、世界中を買いあさるハゲタカになるかもしれないが。
ERINA(環日本海経済研究所) 調査研究部研究員 南川高範
新潟日報ERINAレター2017年12月18日掲載