貴重な不凍港に脚光
ロシアは東に行くほど寒くなる。公式記録でマイナス67.7度を記録し、極寒の地として知られているオイミャコンも、ロシア極東のサハ共和国に位置する。寒いロシアの海は当然ながら冬になると凍ってしまう。
12月に極東のウラジオストク市を訪れた。気温はマイナス15度くらい。海の街だけあって風が強い。体感ではさらに寒く、マイナス30度近くにも達していたようだ。顔は寒さで固まり痛みを感じた。そして海は凍っていた=写真上(アムール湾のスポルチーブナヤ海岸)=。観光客は喜んで氷上で写真撮影し、地元の人は氷に穴をあけ海釣りを楽しんでいた。
ウラジオストクは近年、日ロ両政府が熱心に進めている経済協力のメインの舞台だ。そして、欧米の経済制裁を受けているロシアがアジア重視政策を進める拠点地域でもある。その理由の一つは、ウラジオストク港がロシアで数少ない不凍港であり、重要な物流拠点として機能していることにある。ウラジオストクのあるムラヴィヨフ=アムールスキー半島西岸のアムール湾は凍るが、直線距離でわずか1キロも離れていない半島先端に切り込んだ金角湾は凍らないのである=写真下=。
新潟の冬と比べるとウラジオストクはずっと寒いが、日照時間は3倍も長い。最近では電子ビザの導入地域に指定され、旅行が容易になった。寒く明るいロシアの冬を週末ツアーで楽しむ日本人もいるようである。
ERINA(環日本海経済研究所) 調査研究部研究主任 志田仁完
新潟日報ERINAレター2018年01月15日掲載