道路の脇にも”芸術”

三十数年前、進学のため東京に出て、街を歩くことの楽しさに目覚め、それが高じて都市計画を学んだ。近年の街歩きブームには乗り切れていないが、それでも出張時、特に初めて訪れる街では、第六感を頼りにブラブラしてみる。趣のある建物に目を引かれ、おしゃべりしながら歩く市民の姿に癒やされる。そして思わぬ発見をすることもある。

4月に、ウラジオストクで道路脇の壁画を見かけた=写真=。世界的有名スターを天空の星になぞらえて描いたもののようだ。マリリン・モンローやルイ・アームストロングなど、何人ものポートレートが夜空に浮かんでいる。一部が剝げ落ちていたり、個人ビジネスの広告が貼られていたりするのが玉にきずだが、逆にそれがストリートアートの面白みとも言える。

こうした絵は、落書きと紙一重である。今回のものは幅100㍍近くありそうな大作だが、壁の所有者の了解を得ているのかは疑わしい。それくらい、ロシアの街には「よくできた落書き」が多い。モスクワでは、落書きの品評会と見まがうようなところも見かける。本来はほめられた話ではないが、互いに競い合う「作品」を消してしまわないあたり、芸術の国の面目躍如といったところか。

この夏も新潟空港からウラジオストク、ハバロフスクへチャーター便が飛ぶ。ウラジオストクでは電子ビザ制度も導入され、行きやすくなった。欧州の風情あふれる街並みと行き交う人々、そしてその中に潜む小さな発見の数々。2時間で日本海を一またぎして、街歩きを楽しんでみてもらいたい。

新潟日報エリナレター掲載