ロシア もう一つの顔

ロシアでは5月9日は「大祖国戦争」と呼ばれる第2次世界大戦時の対独戦勝利の日として、全国各地で軍事パレードが行われている。モスクワでは軍事パレードは午前10時過ぎから1時間ほどで終わるが、その後に戦死した兵士らの遺族によるパレードが行われるのは現地に行くまで知らなかった。

モスクワでは午後3時ごろから、戦死した遺族の写真を掲げた人々がツベルスカヤ通りから赤の広場に向かって行進する=写真=。片側3車線の通りは人で埋め尽くされる。パレードが行われる通りや赤の広場、その周辺は夜まで、特別な許可を受けた人しか入られないように外とは遮断されている。行進の途中に、傘を吹き飛ばすほどの強風を伴った土砂降りの雨が降り、お年寄りや子どもたちが次々に地下道や建物に避難する中、パレードは午後7時過ぎまで粛々と続けられた。

第2次世界大戦の終了から74年がたった今、パレードに参加しているのは、戦死者の孫かひ孫の世代が中心だ。ソ連が崩壊し、ロシアとCIS諸国に分かれたにもかかわらず、ソ連赤軍の戦死者を現在も名誉の戦死として宣伝し、そこに市民を参加させ続けるところが、戦前戦中と戦後の歴史が分断されがちな日本とは違うところだと感じた。同時に、過去にこれほどこだわらないといけないほどに、現在のロシアの置かれた状態は厳しいのかと、普段の大国のイメージと異なる面を感じた。

新潟日報エリナレター掲載