人民元レートの変動

為替レートは、旅行のしやすさの参考として身近な指標だが、国際経済の影響や通貨の信用を測る際にも重要な情報を与える。近年、米中貿易摩擦が顕在化する中で、中国の通貨・人民元の対ドル為替レートが大きく変動しているが、人民元レートが国情や国際経済に反応するようになったのはごく最近だ。

人民元レートの推移は標準化為替レートの図=下=に示した通り特徴的だ。標準化とは、桁が異なる数字を比較できるように調整する方法であり、ドルに対する人民元と日本円の為替レートについてこの調整を行った図を筆者が作成した。

人民元は2005年7月に固定相場制度から、一定の変動を認める制度(管理フロート制度)へと転換して以降15年7月まで、短期的に上下動が極端に小さく、傾向的に人民元高に向かうという推移を示してきた。この上下動の小ささは、日本円の推移と比較しても明らかだ。

15年7月、国務院から人民元の許容変動幅の拡大という制度の見直しが発表され、為替の変動が明らかに変化した。発表を機に、輸出促進という政府の意図にかなうように人民元安に推移したが、トランプ米大統領が貿易摩擦の問題を顕在化させて以降は、為替レートの上下動が拡大している。この動きは日本円の対ドルレートと連動していることから、政府の意図ではなく、国際情勢を反映していると考えられる。

折しも、トランプ米大統領が中国を為替操作国と認定したと報道され、中国の為替管理に対する国際的な注目が集まっている。これまでの長期的かつ漸進的な人民元レート自由化の流れを維持することが望まれる。

新潟日報エリナレター掲載