市場から見る暮らし
2月初旬、ロシアの西隣ベラルーシの首都ミンスクを訪れた。市場やスーパーを訪れると、言葉はそれほど分からなくても、その国や街の暮らしの雰囲気や経済の現状が見えてくる。ミンスクでも一番大きいとされるカマロフスキー市場=写真=を訪れた。
市場には肉、家禽類、乳製品、青果のほか、パンや菓子類を売る店や、ミートパイやサンドイッチなどを調理して販売する店、コーヒーの屋台などがある。これらは旧ソ連の国々で現在でも普通にあるが、ロシアと異なり、いくつか面白い特徴があることに気がついた。
まず、写真のようにさまざまな会社の広告が出ているが、その多くが民間企業ではなく、国営企業や協同組合など、生産手段の社会的所有(つまり、社会主義的経営方式)が実施されている企業だ。次に、ロシアの都市部、特にモスクワなどでは市場でフードコートを多く取り入れたり、肉屋なら自社でローストビーフを作ったり、ハンバーガーにして販売するなど、集客力や付加価値を高めようとする努力が見て取れるが、ベラルーシではそこまで金もうけに熱心ではないようだ。
筆者は北朝鮮経済を専門とするが、北朝鮮の市場は、各社の色とりどりの看板があまりないことを除けばベラルーシに似ている。今後、経済が活性化し、国営企業や協同組合がより活発に消費者向けの商売を始めれば、北朝鮮もベラルーシのようになっていくのではないかと感じた。
ERINA(環日本海経済研究所) 調査研究部主任研究員 三村光弘
新潟日報ERINAレター2020年03月23日掲載