徐々に終わる「厳冬」
新型コロナウイルスは、ロシアにも大きな影響を与えている。既に感染者は20万人を、死者は2千人を超えた。首相を含め3人の閣僚の感染が確認されたほど、問題は深刻だ。
このような状況の中で、政府は早々と対外閉鎖に踏み切り、国際便の運航を停止した。プーチン大統領は3月末、有給の「働かない日」の実施を発令した。ロシア政府は、「自主隔離」という外出制限を実施し、人々に家にいるように要請している。
感染者の半数が集中するモスクワ市では、外出時に電子的な許可証が必要になった。違反者は罰金が課せられる。今後は、各地で交通機関や公共の場でマスク着用を義務化する「マスク体制」がとられることになる。
ロシア最大手IT企業ヤンデックスが自社サービスの利用データから作成している「自主隔離」指数(1~2.4=とても多くの人が外にいる、2.5.~2.9=多くの人が外にいる、3~5=人が外にいない)の週ごとの平均値=グラフ参照=を見ると、政策の効果があったようで、外出は大きく減った。
しかし、「自主隔離」が1カ月も続き、徐々に元に戻りつつある。人々は街に繰り出し、公園や川岸を散歩している。新潟の人々と同じく、長く厳しい冬を過ごし、春の到来を待ち望んでいたロシア人にとって、この時期に、外に出られないことは特につらいのかもしれない。
ERINA(環日本海経済研究所) 調査研究部研究主任 志田仁完
新潟日報ERINAレター2020年05月18日掲載