中国 宅配依存が浸透
11月中旬、中国吉林省の長春市では氷の雨が降り、市全体が氷で覆われたという。こうした季節の変化でさえ、今年は新型コロナウイルスが中国、ひいては世界の経済に負の影響をもたらしたことを連想させる。
中国統計局によれば、2020年上半期(1~6月)、中国の国内総生産(GDP)は前年比1.6%減少した。新型ウイルスの感染拡大によって、各種業界が多かれ少なかれ停滞または縮小する一方、中国の宅配便事業は成長著しい。同時期の中国郵政の宅配便取り扱い個数は338.8億個で、前年同期比22.1%増だった=表=。
注目するべきなのは、中国で新型ウイルスの感染者数が激増し、都市封鎖が実施された2月上旬、中国EC(電子商取引)大手の京東(JD)は宅配便売上高が前年比450%増となったと発表したことだ。
中国政府が厳しい封鎖政策を実施したことで、家を出ることができない市民は、さまざまな生活ニーズを満たすため、玄関までの宅配サービスに頼った。
日本でも緊急事態宣言中の「巣ごもり消費」が話題となったが、中国では生活の隅々まで宅配依存が浸透した。
新型ウイルスが流行する前から、中国の宅配業界は発展の兆しをみせていた。05年に物流企業の円通速達とオンラインショッピングサイトを運営する淘宝(Taobao)が連携。さまざまな物流・運輸会社がECとの結びつきを強化した。
ECの急成長とともに宅配便事業も急成長し、中国政府は、11~16年の中国の宅配便事業の年間成長率は50%以上で、今や世界の宅配便事業の半分以上を占めていると公表した。今後も勢いがとどまることはないだろう。
ERINA(環日本海経済研究所) 調査研究部研究員 董 琪
新潟日報ERINAレター2020年12月21日掲載