スマート農業に注目

昨年末、人と同じ効率で果物を収穫できるロボット=写真は立命館大学提供=がオンラインで発表された。産官学が提携し開発した。

開発したのは国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)、立命館大学、デンソー。新潟県産の西洋ナシ「ル・レクチエ」の収穫の様子も紹介された。自動走行車にけん引されながらロボットのアームが伸びて果実を収穫し、荷台の収納コンテナに収める。人間のように果実をそっと収納する様子は、優しくとても愛らしい。

ロボットの収穫する動きは以前からできていたが、人間が簡単に分かることをロボットに認識させることに時間がかかった。ロボットに果実であることをどのように教えるか、さらに熟度をロボットにどのように判定させるかが非常に大きな課題だった。ディープラーニングにより人工知能(AI)は画期的な進歩を遂げた。それにより、果実の認識や果実の種類によっては熟度も判定できるようになった。

農林水産省は2019年から、スマート農業の普及を目指し、「スマート農業実証プロジェクト」を開始し、これまで全国179地区で実証を行っている。ある調査では、2023年には日本国内のスマート農業の市場規模が約402億円に上ると予測された。このような巨大な市場は、トヨタなどの主要な国内メーカーをこの分野への参加を促している。

少子高齢化問題は、日本をはじめ中国、韓国も急速に進み、それらの国でもスマート農業は注目されている。スマート農業は北東アジア国々が抱える共有の課題を解決し、農業生産のバックボーンとなり、地域間の協力の可能性が広がる分野であろう。

新潟日報ERINAレター掲載