尹大統領の外交注視

韓国の大統領に就任した尹錫悦(ユン・ソンニョル)氏は、短期間のうちに、親米、親西側の外交政策を展開している。その背景には、ロシアのウクライナ侵攻と、それによって深まった米中対立の構造の中で、文在寅(ムン・ジェイン)政権までの「経中安米」(経済は中国寄り、安全保障は米国寄り)の外交姿勢が許されない状況が生じていることが指摘できる。

尹大統領は、就任直後に韓国を訪問したバイデン米大統領との会見で、米国が進める新たな国際協力の枠組みであるインド太平洋経済枠組み(IPEF)への参加を表明した。IPEFは環太平洋連携協定(TPP)から離脱した米国が、中国との政治・経済的対立が深まる中で、インド太平洋地域でのイニシアチブを取るために打ち出した構想であり、「貿易」「供給網(サプライ・チェーン)」「インフラ・脱炭素」「税・反汚職」の四つの分野を柱としている。IPEFは5月に、日米豪韓印、ブルネイ、インドネシア、マレーシア、ニュージーランド、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナムの13カ国を当初メンバーとして発足した。韓国はIPEFにおいて、主要な半導体の生産国として、米国を中心とするサプライ・チェーンの要の一つとなることが期待されている。

さらに6月、尹大統領は日本、豪州、ニュージーランドのアジア太平洋3カ国の首脳と一緒に、スペインで開催された北大西洋条約機構(NATO)の首脳会議に招待された。ここではロシアのウクライナ侵攻問題の他、中国の軍事的脅威に対する対応も議論され、アジア太平洋4カ国とNATOの協力が合意された。

このように韓国の新政権の親西側的姿勢が明らかとなったことは、米国と対立する中国、ロシア、北朝鮮を含めた、北東アジアの国際情勢に今後影響を与えていくと考えられる。

新潟日報ERINAレター掲載