EUの南北国境から学ぶ

EUが15から25カ国に拡大した。EUの1カ国に入ると、あとの24カ国は国境を自由に通過できる。歴史上、戦争という手段以外でこのように多くの国を一度に取り込んだ例は無いのではないか。これは地球が極端に狭くなった証拠であり、EUは新しい時代のあり方を示している。北東アジアもEUから多くのことを学べるのではないかと、EUの南の国境と北の国境を調査してきた。

EUの南、地中海は日本海より遥かに広い。ここに国際カーフェリーが走り、地中海を越えて旅客、自家用車、トラックが大量に行き来し、そのまま大陸深く入っていく。何故こんなに多くのフェリーが、それも自動車を載せて地中海を横断しているのか。それは30~40年前、深刻な人口減少に悩んだとき、チュニジア、アルジェリアから労働者を呼んだのが原因と言う。それは今日、フランスの活力の源として機能している。

北のフィンランドはロシアの西端部と接し、その南東部は国境貿易で大きく潤っていた。1日900台を越えるロシアのトラックが入ってくると言うこの地域(写真)は、輸送関連企業だけで700社もある。商習慣の違いから、取引は容易ではない。そこで、低電圧から高電圧につなぐときトランスを用いて電流を流す必要があるのと同様、貿易トランスが必要になる。フィンランド南東部がこのトランスになっているのだ。これが北東アジアにはない。

中国で香港のすぐ背後から経済発展が始まったのは、香港がトランスとして機能したのだと思う。このトランス機能地点を北東アジアに作り出すこと、これもEUから学べることである。

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新潟日報エリナレター掲載