信濃川漫歩 新潟に魅入られ

4月の新潟は寒さを残しながらも少しずつ暖かさを増していった。日本海からの風は強かったが、そこにはもう春の香りが漂っていた。

新潟を訪れたことは何度かあったが、3月下旬から客員研究員として半年間を新潟で過ごすこととなったお陰で、初めて新潟の桜を見ることができた。これまでに体験した東京や京都でのうららかな花見と違って、新潟の花見は少し肌寒かった。

朱鷺メッセから千歳大橋へ、抱き合い座るカップルや、桜の木を囲んで飲みながらおしゃべりに興じる人々、シャッターを押す外国人などを見ながら歩いた。ふと、「信濃川慕情」の歌碑(=写真=)の前で足が止まった。

「町に流れる長い川」…歌碑をながめ、詩の哀愁を味わった。300年にわたる徳川幕府の財政を支え、繁栄した新潟。この「母の河」に抱かれ、良い水や米に恵まれた豊かな大地とその義理人情の厚い土地で、良寛名僧、山本五十六海軍大将、田中角栄総理大臣、羽黒山横綱を生み出した新潟。風に煽られながらも咲き誇る桜を通して、都会の喧騒的な雰囲気とは異なり、素朴だが力強い新潟が好きになった。

新潟を知るにはまだ早いが、花を見ながらやすらぎ堤を漫歩し、この地に心が引き寄せられるのを感じた。中国からやってきてまだ1ヶ月。それでも、この新潟の街が不思議と気に入っている。

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信濃川慕情の歌碑

新潟日報エリナレター掲載