制裁中の「北」で自転車増加
3月6日~15日まで、北朝鮮の平壌、妙香山、開城(市内と開城工業地区)、沙里院を訪れた。昨年10月の核実験に伴う国連制裁の影響が出ているかどうかが気になり、商店や市場などを中心的に回ってみたが、平壌市内ではそれほど大きな影響は見られなかった。金日成広場でたいまつ行列の練習をしている中学生の弁当箱には、白米が入っていた。親心がそうさせているにせよ、平壌では白米を食べることは特別なことではなくなってきているようだ。
昨年3月の訪朝でも感じたことだが、平壌以外の北朝鮮では自転車が庶民の交通手段として重要な地位を占めるようになってきている。自転車は、地方都市や農村で、庶民が自由に移動し、物を運ぶことのできるほぼ唯一の手段だ。これらの自転車の多くは、日本から輸出されている中古品だ。現地の人に自転車の値段をたずねてみると、日本製の「ミヤタ」や「ブリヂストン」で約50ドルとのこと。国営企業の給料は実勢レート換算で1~2ドルと言われているので、相当高価な買い物であるが、大人1人に1台ある家も珍しくないそうだ。このことから、北朝鮮では多くの人が職場のボーナスや副収入で一般の給与よりも相当多くの収入を得ていることが推測される。北朝鮮経済の現状を知るためには、国営経済だけではなく、そこに住む人々に対するインタビューを通じて、公になっていない部分も掘り起こす必要があると感じた滞在だった。
写真:開城市内の様子
ERINA(環日本海経済研究所) 三村光弘
新潟日報ERINAレター2007年03月27日掲載