建設ラッシュ進むモンゴル
モンゴル国内では現在、建設業が急速に発展する産業となっている。1990年代に始まったモンゴルの「経済移行ショック」から続いた長年の経済停滞を経て、90年代中頃から建設業が業績を向上させている。
近年は、民間投資による建設工事がブームになっている。2003年以降の建設工事の80%以上は新規で、これらの多くは民間の発注である。1990年代以前は、社会主義国家のもと、国内の土地が国有であったこと考えると、劇的な変化である。
新築の住居やアパートの数は、2006年には03年の3倍に拡大し、教育施設や文化施設の数は同じ期間に5倍近くまで増加した。と同時に、建設に関係する企業の数は、この3年で倍増した。
また、モンゴルの観光産業の発展に乗じて、民間企業がホテル業・飲食サービス業に投資し始めた。ホテルの数は06年の1年間に54軒増加し、そのうち32軒のホテルが首都ウランバートル市内に建設されている。世界でも有名なブランドホテル(例えばヒルトンホテルやシャングリラホテル)なども、現在ウランバートル市内で建設中だ。
06年と07年は、モンゴルにとって特別な年である。06年はチンギスハン建国800年の記念の年であり、また、07年はモンゴルと日本の国交成立35周年の年である。
これらを記念して、モンゴルでは、新たな施設や観光スポットの建設が急ピッチで進められている。例えば、政府の庁舎や、ウランバートル市内から53km南東に建てられたチンギスハンの像=写真=などである。モンゴルの観光といえば「野生の自然ツアー」が有名だが、加えて、これらの新たな建造物が、外国からの旅行者はもちろん、モンゴル国民にとっても格好の訪問地となるだろう。
ERINA(環日本海経済研究所) エンクバヤル・シャグダール
新潟日報ERINAレター2007年07月24日掲載