スイスの坂の街で学んだ心

11月1、2日、スイスのザンクトガレンにおいてシベリア横断鉄道調整評議会年次総会が開催され、23カ国から200人以上の輸送関係者が集合した。シベリア・ランドブリッジの歴史を紐解くと、初の試験輸送は1967年11月に横浜と神戸港を出発した6本のコンテナがナホトカ経由で42日後、スイスのバーゼルに到着したとされる。近年、東アジアと欧州とを結ぶ貨物輸送は海上に移ってしまい、鉄道輸送の役割はロシア-欧州とロシア-東アジア間に分断されてしまったが、現在もスイスにはインターレイル社など、欧州を代表する輸送会社があり、シベリア鉄道との縁は深い。日本からもフォワーダーや船社の代表が参加し、ビジネス交流に精出していた。

会議の合間に歩いたザンクトガレンの街も魅力的だ。人口7万人の小都市は二つの丘陵に挟まれた谷間に由緒ある教会と修道院、それを囲むように旧市街がある。傾斜地に住宅や大学が広がっている構造から、“the city of a thousand steps(千の階段の街)”と呼ばれている。新潟のどっぺり坂のような階段坂が随所に見られ、坂を登ると教会の尖塔が眺められる。(写真)

そして旧市街にはネオンサインや看板が全く見当たらないため、クラシックな雰囲気に包まれている。マクドナルドでさえも実に控えめな小さな案内表示を建物に貼り付けているだけなのだ。看板がないと店を探すのに不便ではないかと案ずるが、実は背景に何も無い場合は小さな文字でも目立つ。さらに市民がとても親切で、交差点で地図を眺めていると、「何を探しているのですか」と助けてくれる。ここには日本人が学ぶべき生活術があると思った。

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新潟日報エリナレター掲載