北欧のクリスマスと温暖化

真冬のオスロ〓写真〓に飛んだ。ノルウェーの北半分は北極圏。一歩足を伸ばせば、この時期、サンタクロース率いるトナカイたちに会えそうだ。

朝は9時近くなってようやく空が明るくなり、そして午後3時を過ぎれば暗くなり始める。そんな長い夜を彩るイルミネーションはひときわ美しい。だが、クリスマスの本場ヨーロッパのわりには、オスロの中心地でさえ何となく派手さが控え目、との印象を持った。そこで現地の友人に理由を聞いてみた。

「ノルウェー人の家の中に入ってごらん。特別なカーテンに変えてみたり、ちゃんとクリスマス用の装飾で一色さ。クリスマスの基本は、家族単位で楽しむこと。点灯ライトのデコレーションも、家族だんらんの空間を作るためにあれば良いのさ」と言う。なるほど、屋外の飾り付けなど、エネルギーの無駄使いかもしれない。

理由はもう一つあるらしい。ひと昔前まではこの時期、オスロでも当たり前のように雪が降っていたため、道端は明るく、大地を覆う雪と長い夜とのコントラストが美しかったとのこと。降雪量の減少傾向は、ノルウェー南部のオスロから北方へじわりじわりと進みつつある。地球温暖化の余波は、雪国の光景も変えようとしている。

筆者が到着する前日、オスロでは、アルバート・ゴア元米国副大統領がノーベル平和賞受賞式の席上、「我々は地球温暖化対策の遅れを他人のせいにするべきではない」と世界に向け訴えた。

ERINAでは、地球温暖化問題も重要なテーマのひとつとして研究に取り組んでいる。雪道を楽しそうに走るトナカイが想像できないようなクリスマスは寂しい。地球温暖化対策のアクセルを早急に踏み、昔ながらの光景を大切に守ってあげることも、将来の子供たちへの大きなプレゼントなのだろう。

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新潟日報ERINAレター掲載