大気汚染改善 道のり遠く

モンゴルは「自然がそのままに残る澄んだ空気に包まれた国」と思われているかもしれないが、人口の3分の1にあたる100万人強が住む首都ウランバートルの環境は、現実にはまったく対照的だ。地方から都市への人口流入とインフラ不足に加え、工場や家庭の廃棄物処理が不適切なために、深刻な大気・地上・水資の汚染に悩まされている。特に冬の大気汚染は壊滅的だ。晴れた日の午前中でも、大気は曇っている〓写真〓。

厳しい大陸性気候のため、1年のうちの8カ月間(9月中旬~5月中旬)は暖房が欠かせない。燃料として使われている多くは石炭だ。市内の住宅や施設は、石炭火力発電所から地下パイプを通して供給される湯で建物全体を暖めるシステムがあるが、全ての建物に整備されているわけではない。人口流入により急激に増加したゲル居住区で使用される家庭用ストーブや、同居住区の学校や病院で使用される旧式の暖房ボイラーも石炭を燃焼している。加えて火力発電所からの排煙と、自動車からの排ガスが、冬の大気汚染の大きな要因となっている。

ウランバートルでは、年間300万トン以上のCO2が発生する。特に、ゲルで使用される家庭用ストーブによる石炭燃焼の影響は大きく。全世帯の6割以上がゲル居住区に住み、ストーブの数は過去10年間で7割以上増加している。

この深刻な大気汚染は、市民、特に子供やお年寄りの間で多くの健康問題を引き起こしている。ここ数年、大気汚染の改善に向けた決議や政策が、政府・ウランバートル市当局の検討課題となっているが、改善の道のりは遠そうだ。

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新潟日報エリナレター掲載