五輪のテロ警戒に混乱多く
7月終わりから8月中旬まで中国の瀋陽、大連、丹東などを訪問した。ちょうどオリンピックが始まろうとする時だった。サッカー会場がある瀋陽〓写真〓のバスターミナルでは、高速バスに乗ろうとした時に、X線検査機に荷物を通した。ミネラルウォーターが引っかかったようで、開封検査をすると言う。「バスに乗るのに水を持っていってはいけないのか」と検査係に言うと、「お酒の携帯を禁じている。水かどうかは見なくては分からない」と言われた。「いつから中国は水も自由に持ち歩けない国になったのか」と言うと「どこから来た」と言われ、パスポートを提示、私が外国人だと分かると「中国語、上手だね」とにっこり笑い、そのまま通してくれた。
大連のホテルでは、チェックインしようとすると、フロントで「今日から外国人は三つ星以上のホテルにしか泊まれなくなった」と突然の通告だった。ホテル側は「悪いけれど、政府からの指示なので」と言う。結局、3軒隣のホテルに部屋があったが、外国人をいきなり路頭に迷わせる政府の指示とは一体何だろうか。
初めてのオリンピックを迎えた中国は、個人レベルでは訪問する外国人によい印象を持ってもらおうとして必死になっていた。鉄道やバスなどの交通機関も外国人にはおしなべて親切だった。しかし、政府レベルではテロ防止などの安全対策を行うためか、普段はやらない検査をしたり、いきなり通知を出したりと混乱が多かった。今後の中国の課題は政府部門のマインド改革だなと感じた。
ERINA(環日本海経済研究所) 三村 光弘
新潟日報ERINAレター2008年08月26日掲載