中国の「活気」日本に欲しい
日本では景気の後退や雇用の悪化など、悲観的なニュースばかりが目につく冬真っ盛りの先月中旬、中国東北部の物流調査のため、ハルビン市、長春市、瀋陽市を訪れた。
現地有識者との懇談会では、日本の反応と対照的に、世界経済危機の影響について「危機はチャンスになる」と、強気の発言が目立った。2年間に4兆元(約52兆円)規模の景気刺激策、個人消費の底固さなどが、その根拠とされている。
その巨額投資のうち、多くの資金が鉄道、道路、空港、地下鉄などのインフラ整備、公共施設の建設に流れるものとみられる。緻密な予算編成はあまり重要視されていないようだが、とにかくスピード感や勢いを感じさせられた。
滞在先の瀋陽市では、今年の地下鉄1号線と2号線の建設投資額を、前年の30.5億元(約397億円)から35億元(約455億円)に引き上げると発表された。さらに地下鉄3、4、5号線計画についても、年内に国からの建設許可取得を目指すという。
瀋陽日本人会との意見交換会では、旺盛な個人消費と不動産開発需要を背景に瀋陽市の好景気が当分の間、続きそうだという意見が出た。そのせいか、最高気温が氷点下10度の街に出ても、活気に溢れている。日本人駐在員の1人は、「日本の新入社員を中国に連れてきて、この活気を体に覚えさせたい」と語っていた。確かに、この「陽気」を少しでも日本に持ち帰りたい気分になった。
春節商戦でにぎわう瀋陽市の「中興デパート」
ERINA(環日本海経済研究所) 朱 永浩
新潟日報ERINAレター2009年02月10日掲載