日本海拠点港湾を目指して
「上越新幹線の終点・新潟の先には『新幹船』が続く。それはトロイツァ港に渡る船だ」と中山輝也・新潟経済同友会代表幹事は言う。
ロシアのハバロフスクやウラジオストク、中国のハルビンとの航空路は、人的・物的交流を支えてきたが、観光と貿易が拡大するためにもう一つ重要なのが港湾だ。新潟港とロシア・トロイツァ港、韓国・草束港を結ぶ航路の実現は人と物の流れを一挙に拡大し、地元経済を活性化する。
新潟市で2月28日、前原誠司国土交通相はスーパー中枢港の選定に2010年いっぱいかかると述べた後、中国やロシアとの物流は重要で日本海側に拠点港湾が必要だと強調したという。
新潟港は、日本海沿岸都市の中で、コンテナ(約14.3万TEU、2009年)とバルク(天然ガスなど)の扱いでは、第1位を占めている。既に日本海拠点港湾選定に向けた支援協議会が組織され、北東アジアへの総合的な物流拠点という位置づけを獲得することを望む。
中国は、外貨保有高で世界第1位、GDPと貿易総額では世界第3位を占め、日本との貿易が20.5%に達してアメリカの13%を追い越した。ロシアでは、2012年APEC開催を控えたウラジオストクの拠点化に1.7兆円の投資をし、同市をアジア・太平洋諸国との交流の窓口に変えようとしている。韓国は、李明博大統領のロシア進出政策に依拠し、極東の港湾、鉄道、食糧開発、都市のガス化の具体化に積極的に取り組んでいる。
新潟としては、近隣諸国の変化を敏感に捉え、具体的な対策を立案し、実施することが急務である。
ERINA(環日本海経済研究所) 吉田進
新潟日報ERINAレター2010年03月16日掲載