「人民生活の向上」最重要視

北朝鮮では故金日成主席が国民統合の象徴となっている。生誕100年となる来年を国全体で祝うにあたって、特に重要視されているのが「人民生活の向上」だ。ここ数年間、「食」の問題を含め、国民生活を量的・質的に高めていくことが重要な施策となっている。

量的問題の解決には、農業や軽工業の生産量を高めることが第一義的に必要だ。原料の輸入のためには、より多くの外貨を獲得していくことも必要だ。しかし、厳しい国際環境の中で必ずしもうまくいっていない部分もある。

質的問題については、科学技術を振興させ、その成果を積極的に応用する政策がとられている。北朝鮮版「産官学共同」で、生活を向上させる努力をしている。

これまで平壌の名物のひとつに、市内の各交差点で手信号で交通を指揮する女性の「交通安全員」の存在〓写真〓があった。雨の日も風の日も交差点の真ん中に立つ彼女たちの重労働を軽減するため、2009年には大型のパラソルが用意された。しかし今は、その負担を機械が代行している。平壌市内の交差点には新たに発光ダイオードを利用した信号機が設置され、今後は機械が彼女たちの仕事を引き継ぐことになった。

大量破壊兵器の開発では国際社会と対立する北朝鮮も、国民生活の面では少しずつ変わってきた。この変化は北朝鮮国民のよりよい生活をしたいという願いにつながっている。今回の大震災に際して世界各国が一方では日本に対して暖かい視線を注ぎ、他方では厳しい対応を示した。では、日本では、どんな国際貢献ができるのか、身近な北東アジアで冷静に考えていく必要があると感じている。

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新潟日報エリナレター掲載