地域発展計画 吉林省に期待

2009年8月、中国・国務院は「図們江地域協力開発計画網要」(以下、「計画」)を承認し、長春市、吉林市、延辺州を中心とした地域発展計画は国家戦略に昇格した。筆者は先ごろ、計画の進展状況について現地調査を行った。

中国の地方政府は地域発展計画の国家戦略への昇格を競っている。国家戦略に認定されると、その地域の地理的・経済的特徴が認知され、地域開発が国全体の発展に寄与すると認められる。計画は吉林省の「沿辺」(内陸国境沿い)地域開発の地理的優位を認め、「先行先試」(先に試み、先に行う)の権利を与えた。中国はこれまで沿海地域の開発開放に成功してきたが、沿辺地域の開発に成果は少なかった。計画は沿辺地域の発展の方向性を模索し、国際開発協力の経験を積み、全国にモデルを示す役割が期待されている。

具体的な動きとして、まず北朝鮮の羅津港を経由して中国の東南沿海地域に石炭を輸送する「越境輸送」が実施された。中国政府は北朝鮮と協議し、関税徴収なしに荷物の越境輸送を実現した。次に中国・ロシア・北朝鮮三カ国の国境観光ツアーでは、到着地でビザを取得できる「着地ビザ」の制度を取り入れた。また、延辺州でも労働力不足の問題が顕在化しており、北朝鮮の労働力の導入を検討すべきだと主張する学者もいる。

国家戦略に昇格したが、計画の実行は国ではなく、吉林省の主導で行われる。吉林省は地元経済の発展を実現し、沿辺地域の先進事例を全国に示す使命を持っている。吉林省の人々の知恵と情熱を期待したい。

fg110523_1

新潟日報エリナレター掲載