素顔のぞける楽しさ

国際会議には当然、国外から大勢の参加者が来る。先ごろ開催した「2012北東アジア経済発展国際会議(NICE)イン新潟」でも、北東アジア各国や国際機関から講師を招いた。今回の招へいで一番苦労したのは、ロシアからの基調講演者だった。

ロシア政界はいま、3月の大統領選挙を前に、人事の思惑が絡み合い、国外に出張するなんて冗談じゃない、という状況らしい。そんな中でNICEに来てくれたのが、アレクサンドル・シュルブリン氏〓写真〓だった。同氏は、ロシアが今年の議長国となっているアジア太平洋経済協力(APEC)に関する研究所の会議担当部長だ。新潟から飛べばわずか1時間半のウラジオストクで首脳会議が予定されているので、新潟での北東アジア会議は、彼らにとっても絶好のアピールの場になる。

シュルブリン氏は65年の人生で初の訪日だったが、北朝鮮や韓国でロシア通商代表を務め、この地域の土地勘はある。「成田空港に迎えが要るか」と聞くと、「自分で行ける。大丈夫」という返事。安心して来港を待っていたら、東北新幹線の乗務員から「間違えて仙台行きに乗られました」という電話が入った。

ロシア人はジョークが好きだ。アネクドートという小話を披露しては、乾杯する。どうにか新潟にたどり着いたシュルブリン氏の仙台行きもジョークだったのだろうか。NICE基調講演の冒頭から、同氏は「北朝鮮で仕事をして、金正日氏と友人だった。だからと言って私を殺さないでね」とちょっと笑えないジョークを飛ばしていた。国際会議の裏舞台は苦労が多いけれど、いろいろな国の人の素顔が覗ける楽しみもある。

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新潟日報エリナレター掲載