重厚な近代史の舞台

2月27日、中国のFTA政策に関するヒアリング調査のため、北京市の中国社会科学院を訪問した。社会科学院は数ある政府系シンクタンクの中でも長い伝統と、多くの分野をカバーする豊富な人材で知られる機関である。今回訪問した施設は紫禁城からそう遠くない、市街地の中心部に位置していた。私は初めての訪問だったのだが、まず社会科学院が入っている建物〓写真〓を見て驚いた。ゴシック様式ともルネッサンス様式とも分からない、ずいぶん迫力のある西洋建築である。

この建物は清の時代に建てられた後、袁世凱の後継者の一人として清末から民国初期に華北に君臨した軍閥、段祺瑞の本部として使われたそうである。段は覇権をめぐり、関東軍に謀殺された東北の軍閥、張作霖ともあるときは連携し、あるときは対立する立場にあった。また西原借款の導入など、日本とも因縁の深かった人物である。図らずも中国の近代史の舞台となった場所を見ることが出来た。

建物は文化財に指定されており、現在、使用しながら保存のための修復が進められている。ちなみに今回訪問した研究部門は、最近改組されて、「全球戦略研究院」という名称になっていた。中国が列強に半植民地化された20世紀初頭に軍閥の首領が拠点とした建物の一室で、台頭する21世紀の中国のグローバル戦略が研究されていることになる。歴史の巡り合わせの面白さといっては、不謹慎になろうか。

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新潟日報エリナレター掲載