日中緊張 影響は限定的
国境問題をめぐる日中間の政治的緊張は、新潟県内の中国進出企業にどのような影響を及ぼしただろうか。ERINAはジェトロ新潟の協力を得て、2012年12月~2013年2月に関係企業調査を行った。県内中国進出企業169社にアンケートを送付し、45社から回答を得た。さらに、そのうち18社を選んでヒアリング調査を行った。
アンケート調査の結果では、日中関係の緊張による影響は限定的だった。45社中、「すでに影響があった」が8社、「今後予想される」が4社、「影響なし」が33社で、影響なしの企業は約7割を占めた。直接的な被害については、「休業や操業停止」と答えた企業が2社にとどまり、工場への乱入等によるものはなかった。売上や営業・事業活動への影響では、「あった」と「今後予想される」と回答した企業は合わせて約2割だった。今後の中国展開方針への影響について、「(ほとんど)影響なし」と答えた企業は36社で、8割だった=表=。
しかしヒアリングした中では、企業によって大きく影響を受けたケースもあった。ある部品製造企業は、「武装警察を見て中国リスクは現実的なものだと目覚めた」と明かし、現地法人への追加設備投資を中止した。別の部品製造企業は、「顧客の大手メーカーが中国での生産比率を引き下げたため、その影響を大きく受けた」と話した。また、日中関係の緊張よりも、人件費の上昇、経済成長速度の鈍化、為替レートの変動等の経済的な要因による影響が大きいと指摘した企業も多かった。
県内対中進出企業の中国展開方針への影響
大きく影響する | 2社 |
多少影響する | 7社 |
(ほとんど)影響なし | 36社 |
ERINA(環日本海経済研究所) 穆尭チェン(チェン: くさかんむり+千)
新潟日報ERINAレター2013年03月18日掲載