曇天照らす笑顔の輪

サンクトペテルブルクは北緯60度、冬至の頃には1日の4分の3は日が沈んでいる。かなりの寒さを覚悟して行ったが、気温は連日0度を越える「暖かさ」。

バルト海に面したウスチ・ルガ港=写真=を視察していた時だ。鉛色の空から急にみぞれが降ってきた。風に背を向けるようにして横歩きしながら、これではまるで新潟だと思った。

管理棟まで歩いて戻る10分弱の間に、すっかり濡れてしまった。どうせ降ってもサラサラの粉雪だろうと思って、傘は日本においてきていた。まさかこんなところで「弁当忘れても傘忘れるな」の格言をかみしめることになろうとは。

ここでは、朝晩の通勤、通学時間帯は真っ暗で、昼も曇天が続く。この雰囲気の中で読んでこそ、ロシア文学の神髄がわかるのかもしれないと思ったりもした。薄暗い小路の奥では、いかにも事件が起きそうである。この暗さにどうしても慣れることができないという外国からの赴任者や家族もいるという。

しかし、翌土曜日、地下鉄や街角で見かけた家族連れの顔は明るかった。街はクリスマス気分があふれ、子供たちの笑顔が連れている親や祖父母の顔を照らしているようだ。

新潟でももっと子供連れで街を歩く人がいたらいいのに、などと考えながら帰国した。

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新潟日報エリナレター掲載