「北」に本格スキー場

4月初旬に北朝鮮の平壌と馬息嶺スキー場〓写真〓を訪問した。一昨年の夏から工事が始まり、昨年末にオープンした北朝鮮初の本格的なスキー場だ。設備は日本のスキー場と比べると若干見劣りするが、リゾートホテル風でサービスにも力を入れている「馬息嶺ホテル」やレンタルのスキー、スノーボードなどを備え、諸外国に負けないスキー場を造ろうとする努力を感じた。

北朝鮮の経済力からすれば、このような不要不急の施設ではなく、国民の「食の問題」を解決することにまず力を入れるのが普通であろう。筆者もなぜ巨額の費用と人力を要するスキー場をまず建設したのか不思議に思い、滞在中に数人の研究者と意見交換を行った。

2013年年頭の施政方針演説である「新年の辞」で金正恩第1書記は「社会主義文明国」という言葉を国民に向けて語った。北朝鮮の研究者らによると、この言葉は、北朝鮮でも先進国の都市の生活水準に劣らない経済、文化水準を目指すということを意味しているそうだ。金正恩第1書記にとっては、スキー場をはじめとした体育施設を充実させることが、文化面や国民の体力増強における水準向上につながると考え、全国の模範として馬息嶺スキー場の建設に力を入れたとのことだった。

北朝鮮では、農業分野での改革などにより、食糧生産が増加し、近い将来「食の問題」を解決できる見込みを持っていると聞く。「社会主義文明国」の言葉に恥ずかしくない国民生活の向上が本当に成し遂げられるのか、これからも北朝鮮の動向を見守っていきたい。

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新潟日報エリナレター掲載