懐深い韓国経済外交

9月初旬、自由貿易協定(FTA)関連の調査のため、米国のワシントンDCを訪問した。現地では戦略国際問題研究所(CSIS)、アメリカンエンタープライズ研究所(AEI)などのFTA問題の専門家に、環太平洋連携協定(TPP)交渉を中心にヒアリングを行った。

そうした中で我々が訪れた一つのユニークな機関について紹介したい。韓米経済研究所(KEI)〓写真〓はその名のとおり、米国に立地する韓国の経済研究所である。環日本海経済研究所(ERINA)とも提携関係にある韓国の政府系シンクタンク・対外経済政策研究院(KIEP)の、米国における関連機関として、韓国政府の資金によって1982年に設立された。活動の内容は米国の経済政策に関わる調査研究、米韓間の政策対話の促進である。

このように紹介すると、何か一種のロビー活動(政策の実現に向けた政治家への働きかけ)を担う機関のように誤解されかねないが、それは異なる。米国の法律ではロビー活動が合法的に扱われる代わりに、それに携わる資格保有者も限定されている。KEIはそのような機関には類別されず、あくまでもシンクタンクとして政策対話の促進を目的に活動している。難航した米韓FTAの締結など、米韓間の諸課題をサポートしてきた。

現在の所長ドナルド・マンズーロ氏は、昨年政界を引退するまでの20年間、下院議員であり、下院外交委員会アジア太平洋小委員会委員長を務めた人物である。その一点からもKEIのワシントンDCにおける影響力が類推できる。こうした機関を30年以上にわたって維持、運営してきた韓国の経済外交は、意外に懐が深いものといえる。

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新潟日報エリナレター掲載