土産でブランド浸透
日本国内各地には、いわゆる定番土産がある。仙台の笹かまぼこ、名古屋のういろう、京都の八つ橋、広島のもみじまんじゅう、福岡のめんたいこなど。なかでも札幌には、全国的に有名なブランド菓子がいくつもあり、これらは今や訪日観光客にとっても定番の日本土産となっている。成田空港はじめ全国の多くの空港の免税店で買うことができるものもある。
2012年に新装されたウラジオストク国際空港には、こうした菓子メーカーの一つ「ロイズ」が出店している=写真=。最初に見た時は「なぜ、こんなところに」と思ったが、空港利用客の多数を占めるであろうロシア人が、日本の対岸に位置するウラジオストクらしいお土産として日本商品を買おうと思っても不思議はないと考え直した。
同空港には、このほかにも日本の食品や雑貨を販売する店舗や「ダイドー」の自動販売機もある。各地を飛び回る比較的高所得の人たちを対象にブランドを浸透させていくにはいい場所だ。しかも極東には目と舌が肥えた日本びいきが多く、その口コミにも期待できる。残念ながら、新潟空港との間では夏季チャーター便だけしか飛ばなくなってしまっているが、日ロの人の流れが交わる場所であることは変わらない。
「これ日本製のチョコなの。おいしいからお土産にするといいわよ。」モスクワへ帰るお客さんを空港まで送ってきたウラジオストク市民が、得意顔で一押し商品を勧めている情景を思い浮かべると、なんとなく楽しい。
ERINA(環日本海経済研究所) 新井洋史
新潟日報ERINAレター2014年12月22日掲載