産業構造高度化の高波に追われている韓国

|朝鮮半島

韓国の製造業は、中国などの新興国のキャッチアップと日本などの先進国との間に挟まれたサンドイッチの状態になりつつある。これまで韓国が比較優位にあった鉄鋼、家電、造船、機械などの組立・装置産業においても、2000年代半ば以降、世界市場での韓国製品のシェアは停滞あるいは低下している一方、中国など新興国のプレゼンスが急速に高まっている。とりわけ、隣の巨大国である中国の急速な産業化によって、韓国の製造業は高付加価値化・サービス化という産業構造高度化の高波に追われている。

韓国の産業構造をみると、部品・素材産業と中小企業の育成の遅れ、そして核心部品・素材や設備などの中間財・資本財の高い対日依存度という構造的問題を抱えている。その結果、半導体など韓国を代表する輸出産業の設備や核心部品・素材の対日依存度が高く、それが膨大な対日貿易赤字の原因にもなっている。これらの構造的な問題は1960年代以降韓国の産業発展過程で形成・蓄積された構造的問題であり、短期間で改善される問題ではない。

韓国政府は、そのようなグローバル競争環境の変化に対応して産業構造高度化を進めていくため、今年度に入ってから「大・中小企業相生協力に関する法律」の改正などを通じて、部品・素材産業の育成、そしてその担い手でもある中小企業の育成に取組んでいる。具体的には、大企業と中小企業間の不公正取引の是正とそのための監視体制の強化、中小企業への技術移転支援、グローバル競争力を持つ中堅企業の育成(World-Class 300 プロジェクト)などである。

その中でも、大企業と中小企業との相生(協力)関係構築を通じた中小企業支援に力を入れているのが目に付く。韓国の組立企業と部品企業との関係は長期・継続的な協力関係ではなく、組立企業が短期的な利益を優先し、部品企業の低賃金の活用を目的とした単純な生産委託を中心とする下請け関係という側面が強かった。政府は、そのような関係が技術開発力を持つ中小企業の育成が遅れた主な原因の一つであると認識しているようである。とにかく政府の強力なプッシュに従う形で、現代自動車、三星電子などの大企業は相次いで中小部品メーカーへの技術・資金支援策を次々と打ち出している。

しかし、これまで何回も試行錯誤を経験してきたように、政府主導の企業間関係の改善や中小企業の育成には限界がある。あくまでも企業間関係は関連制度と産業構造によって決まる。これは、大企業と中小企業間関係は強者と弱者の論理で大企業を圧迫し、中小企業を助けることより、その基盤となる制度・構造改革が先決であることを意味する。日本の中小企業の場合、政府の支援と保護ではなく、親企業による管理された競争を通じて成長してきた。親企業の厳しい品質基準、単価引き下げ要求を満たすための努力、部品メーカー間の競争が競争力のある中小企業を育ててきたのである。

韓国の場合、経済規模からみると日本、ドイツと比べて製造業の企業数は多すぎる。しかも全企業の99%以上が中小企業であり、競争力を持つ中堅企業が少ない。従って、競争力が弱い企業の撤退とM&Aを活性化するための制度的整備が先決である。そして、中小企業が市場メカニズムによる競争を通じた再編・統合が行われるような構造改革が必要である。政府はこのような公正な競争を通じて生き残った有望な中小企業を中心に集中的に支援すべきである。

要するに、効率的に産業構造改革・高度化を進めていくためには、政府の支援・保護措置が中小企業の公正な競争の障壁にならないようにすべきであり、また政府政策も短期的な成果よりは一貫性を持つ中長期的な視点に立った「選択と集中」が必要となる。