脱冷戦に動く環日本海の構図と中国

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去る6月13日―14日の朝鮮半島南北首脳会談(ピョンヤン)を皮切りに、環日本海におけるポスト冷戦の構図が大方の予想を越えるテンポで激変しつつある。オルブライト米国国務長官の初めての朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)訪問(10月22日―24日)と2回にわたる金日正総書記との会談(23日―24日)は、米朝両国間の急接近をうかがわせ、クリントン米大統領の訪朝に布石をしいたとみられる。

一方、第3回ASEM(アジア欧州会議、10月19―21日)首脳会合がソウルで開かれ、25カ国の首脳が一堂に集まった。アメリカを除く国際首脳会合に日本が出席する数少ない一つである。

中国は朱鎔基首相が訪日(10月12日―17日)の続きの形でASEMに出席し、この間、韓国との個別首脳会談において中韓関係の拡大と強化に乗り出した。従来の貿易促進や投資誘致など経済分野から一歩踏み出して、軍艦の相互訪問を含む「全面的な協力関係」に向け発展させる点で合意した。安全保障分野での両国間協力の重要性を高め、朝鮮半島における影響力確保に狙いを定めたものとみられる。

その朱鎔基首相が北京に戻るや席を温める暇もなく、今度は第2回「中国―EU商務対話」(首脳経済会合、10月23日)を主催した。中国とEUの企業家400人余りがIT(情報技術)産業ならびに中国のWTO加盟を巡って協力関係の討議に参加したと伝えられる。中国は「保険」市場の開放と国連の人権A規約(経済的、社会的、文化的権利に関する国際規約。ちなみに、B規約は市民的、政治的権利に関する国際規約)の批准意思を示され、WTO加盟に対するEUの支持を改めて取り付けた格好となった。

以上の朱鎔基首相にみる目を張るような一連の中国外交の動きに対して、早くも外交部部長はマスコミに向けて「外相談話」を発表(『人民日報』海外版、10月23日)し、日韓両国への訪問は「重要な外交行動」と位置づけ、一方のASEMは「実務、順調、成功」を収めたとの自己評価を内外に示した。

中国の以上の外交展開に対して、日本はどう受け止めているのか。マスコミの論調を見る限り、朱鎔基首相の訪日が環日本海圏を取り巻く中国の一連の外交展開の一環と位置づけた認識はほとんどなく、ただ日中間の双務外交活動との理解しかないようだ。それではここ数ヶ月来、朝鮮半島を舞台に熾烈に展開する諸利害国外交の全体構図は見えてこないであろう。

中国はこのほど21世紀に向けて「国民経済と社会発展第10次5カ年計画」(中共第15回中央委員会、10月11日採択)を発表した。2010年にはGDP(国民総生産)の倍増を到達の目標に定め、WTO加盟後の道筋が示された。一方、人民銀行はこの9月から外貨運用について貸し出し金利の自由化に一歩踏み出した。いずれも見逃してはならない出来事である。願わくば、ERINAが独自の問題意識と視点をもって、以上の全体的な動きを把握し、その分析の成果を内外に示して欲しいものである。(2000年10月25日)(了)