北東アジアを覆う「新冷戦」思考

|中国

ブッシュ政権が誕生してから、対アジア政策はかなり大きく変わり、タカ派的色彩を色濃くしている。金大中大統領の太陽政策に異を唱え、朝鮮半島の南北対話局面は大きな転機を迎える可能性がでてきた。台湾への先端兵器の売却及びブッシュ大統領の台湾防衛の発言は、偵察機接触問題で緊張した関係にあった米中関係をより一層悪い方向に向かわせている。また教科書問題、李登記訪日ビザ発行、セーフガード問題など、日中関係も悪化しつつある。これら新しい動きの根底にあるものは、中国を潜在的ライバルと見て、それへの牽制を強めていることである。

21世紀初頭の国際関係の特徴は「牽制」と「協調」であるが、ここ2,3年は相互牽制がより突出したものとなろう。アメリカ、中国、日本など何れの国もナショナリズムを鼓舞しており、それが相互に刺激し合う可能性が強いからである。またロシアが経済の回復と共に大国への道を着実に進みつつあり、アメリカの対ロシア政策も硬化している。正に「新しい冷戦」の到来を思わせる兆候の現れである。

しかし歴史の流れは、経済のグローバル化のなか、政治的対話が主流である。今こそ世界の有識者は、「新冷戦」思考への批判を強め、数年後にやってくると予想される国際協調時代に備えるべきである。

北東アジアについて言えば、研究者レベル、民間レベルの交流を深め、今年開かれる予定の第一回ASEAN(東南アジア諸国連合)10+3(中、日、韓)首脳会議を成功させなくてはならない。筆者は昨年、北東アジア或いは東アジアにおいて大変好ましい情勢が生じたのに鑑み、アメリカからブレーキがかかることへの注意を喚起したが、果たして、昨年の秋頃からアメリカの戦略研究グループによって東アジア経済協力への離間策が図られた。日本がアジアにおけるイギリス(アメリカの軍事行動に追随)になれ、米日自由貿易圏をつくれなどがそれである。

アメリカは一方でNAFTAの拡大である米州自由貿易圏の構築を図り、他方では東アジアでのアメリカ抜きの地域経済圏の形成に牽制をしている。このような動きに対して、東アジア諸国、とりわけ日本と中国がどう対応するかが問われている。当面、東アジアにはこれに対抗できる基盤が整っておらず、昨年の高まりから今年は低調な年になるのではないかと懸念される。

しかし中長期的にみれば、東アジア経済協力、更には東アジア集団安全保障体制の形成は歴史的必然性があり、現に東アジア有識者の間ではこのような世論が高まっている。東アジア諸国の有識者には、ブッシュ政権になってからの逆流に抗して、それぞれが自国の世論と政府を動かして、東アジア経済協力を前進させるよう努力することが望まれる。