ロシア経済 本格的回復は内外投資しだい

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ロシア経済の好況が続いている。1999年にGDP3.2%増のプラス成長、鉱工業生産は8.1%増と著しい回復を遂げたロシア経済は、2000年前半にも好調を持続し、1~4月の鉱工業生産は前年同期に比べ10.3%増、農業生産は1.2%増を記録,投資が13.1%増と大幅に増え、好況を反映して貨物輸送量が6.5%増,小売販売高も7.6%増と伸びた。懸念の大きかったインフレも5.0%にとどまり、通年では12%以内に収まる見通しである。

3月の大統領選挙で圧勝したウラジーミル・プーチン新大統領が5月,正式に就任し、その若々しく,行動的でシャープな挙動が国民の信頼を集め、ロシアに切望された政治的安定が実風され始めていることから、経済の将来に明るい展望がひらけてきた。1998年8月のルーブル切り下げと通貨・金融危機発生後1999年春ごろまでロシア社会を覆っていた悲観主義は雲散霧消した。

2000年の経済成長率(GDP成長率)は4~5%(アンドレイ・イラリオノフ大統領顧),インフレ率は12%以下(アレクセイ・クドリン蔵相),2010年までの10年間の平均経済成長率は5%(大統領直轄のシンクタンク「戦略立案センター」)と見込まれ,楽観主義がベースになっている。

ロシア経済回復の要因は①ルーブル切り下げのプラス効果=国際生産品の市場競争力上昇、②国際油価の大幅上昇と貿易収支のプラス著増、③通貨供給量の増大,④企業の自主経営努力,⑤投資の増加,⑥市民生活の抑制などであり,ルーブル切り下げと国際油価上昇の効果が大きかった。

だが、1999年から2000年前半の著しい鉱工業生産増大は,投資が1992~1998年と連続して減少したもとで老朽化・陳腐化が進んだ既存の機械・設備を無理矢理にフル稼働させて実現された。このような増産が長続きする筈もなく、ロシア経済の本格的立直りには生産分野への新しい設備投資が必要不可欠である。そして、外資に対する期待は非常に大きい。

プーチン大統領はじめ新政府の要人たちが機会あるごとに外国からの対ロ直接投資を要請し、外資導入に必要な法整備を早急に行うと約束しているのは、上述したところを十分に認識しているからである。

欧米諸国からロシアへの投資も、プーチン政権発足による政治的安定と経済回復を好感して、増加し始め、2000年1~5月だけで100億ドルを上回った。米国の大手ヘッジファンドを率いる世界的投資家ジョージ・ソロス氏は、6月初めモスクワでカシヤノフ・ロシア首相と会談した後の記者会見で、「ロシア経済は絶好調であり、本物の成長を実現している。しかし、ロシアは資本不足であり、自分は投資する用意がある」強調している。(『朝日新聞』2000年6月10日付,夕刊)。

外国の対ロ投資には大きな変化が生じている。1998年までの外国投資は総額の60%異常が首都モスクワに集中していたのが,1999年には直接投資の24%(10.2億ドル)がサハリン州に投入された。この結果,サハリン州は,第2位のモスクワ(7.9億ドル)を大きく引離し,最大の外国直接投資州になった。

日本の対ロ投資実績は小さく,欧米諸国のはるか後塵を拝している。積極策の検討が必要である。