景気は弱含み

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政府は5月の月例報告で、景気はさらに弱含んでいると景気見通しを一段と下方に修正した。アメリカの経済が減速しているため輸出が減ったことと、それが原因となって設備投資が減速したことをその理由としてあげている。公共投資が減っていることも景気低迷の理由であろう。2001年1~3月の公共工事は大手50社の官公庁からの受注額を見ると、前年同期比17.4%減と大幅に減っている。これを反映して1~3月期の鉱工業生産は前期比3.7%減、前年同期比1.1%減となった。生産者製品在庫は前期比2.3%増、前年同期比3%増である。弱含みというより、景気下降といった方が実態に合っている。OECDも5月3日に公表した見通しで、2001年の日本経済の成長率を1.0%とした。昨年秋には2.3%とみていたのだから、おおきな下方修正である。

こうした中で小泉内閣が登場した。小泉氏は、経済政策では構造改革を重視し、構造改革なしには景気回復も有り得ないといっている。

構造改革の内容としては、不良債権の最終処理、規制の徹底的緩和、財政構造の改革等が中心である。財政については、国債の規模を30兆円以内におさえることも目標に掲げている。これは多くの人が賛成している。

しかし、構造改革を一本調子にすすめることは危険である。現在の景気の下降は輸出等を中心とする需要不足である。中期的には構造改革が必要だが、短期的には財政支出を抑制するという需要縮小政策をとるべきではない。そうでなければ1997年の橋本内閣の財政構造改革政策の誤りを再びおかすことになる。この時は、増税と歳出の一律カットという強い引き締め政策をやって、不況を激しくし、税収が減って財政構造の改革も失敗してしまった。規制の撤廃等はどしどしすすめるべきだが、財政支出は再検討しながら総額としては拡大は続け、景気の回復の中で不良債権の整理を穏やかに進めるべきであろう。

OCEDもこれまで日本の財政の緊縮を主張してきたが、今年は調整を変え、年内は財政面の刺激を維持すべきだと景気回復を最優先とすることを求め、財政再建は中期的戦略とすることを要求している。

現実の小泉内閣の政策はまだ明瞭になっていないが、選挙戦の最中に主張したほど極端なものとはならない可能性がある。選挙中公共投資の拡大を唱えて戦った麻生太郎氏を党の政調会長にすえた。またバランスのとれた経済学者である竹中平蔵氏が経済財政担当大臣となった。これらの人の意見をいれて、橋本的独走に走らず、景気回復と構造改善の両者に目を配りながら政策をすすめていくことがのぞまれる。消費の落ち込みはとまったようだ。アメリカの景気後退もそれ程酷くならない可能性もある。日本の政策が不況に追い討ちをかけなければ景気の後退は意外に早くストップするだろう。