朝鮮の未決済債務問題(2)

|朝鮮半島

今回は債権国側の現状につき筆者の知り得た情報を元に整理してみた。各国それなりの対応が伺えるが、根本的な解決となる債務決済履行を朝鮮に迫って元利全額回収に成功した例も、逆に債務免除に応じた例も共に皆無である。

  1. ロシア旧ソ連時代の援助に依る製鉄・発電所の建設費等未決済額が約40億ルーブルに達しているらしいが、両国間で何の程度で調整・確認されているのか判明していない。韓国情報では総額40億ドルとの推測がある様だ。両国間の最近の動向を参考までに記す。
    • 2000年7月末、歴史的南北会談後沖縄サミット直前に平壌を訪問したプーチン大統領に対し、金正日総書記は債務免除を要請したが、「ニエット」の回答で有ったとの報道が流れた。
    • シベリアランド・ブリッヂ活性化の為、釜山のコンテナを狙って、ロシアは朝鮮東海岸の鉄道近代化を積極推進の意向らしいが、朝鮮の運賃収入を決済に一部充当する考えも背後には有るのではないかと筆者は推測している。(現状其の様な報道は未だ無いが、シベリア木材伐採事業、其の他に債務返済問題を絡ませたニュースをこれまでも散見したので)
  2. 中国半世紀に亙り最大の援助国である中国は、今後朝米間の動きに対応して如何に振る舞うかと云う政治的課題が大きい為か、本件に関してのニュースは殆ど見当たらない。何れ外交当局関係者や国際金融関係者から何等かのコメントが出る事を期待している。
  3. 欧州英仏両国で10億ドル、独が5億マルク程度と云われている。英仏銀行団は1987年8月リスケ交渉が決裂し、デフォールト宣言を行った。この当時、日本決済協はリーダー格のモルガン・グレンフェルと接触を保っていたが現在は無い。其の後、銀行団は欧州に存在する朝鮮の不動産差押さえを図ったり、債権の一部を証券化して市場に出したりしている。一昨年の南北会談直後、この証券に対する市場評価は額面価額の20%迄急騰したと聞いている。
  4. 日本朝鮮貿易銀行と決済協との間で1983年第三次リスケが合意されたが、1銭も支払い無いまま現在に至っている。1986年、貿易保険金が支払われたので債権者の資金繰り改善には寄与したが、国税庁は朝鮮債権の無税償却を認めない為、依然財務諸表のしこりとして残っている。最近、銀行の不良債権処理に伴い海外の投機家等に売却されたケースも現れた様である。1980年をピークとして日朝間貿易は右肩下がりで低迷している。日朝間の政治的緊張も原因であるが、決済問題に根ざす朝鮮の貿易信用が最大のネックとなってしまった。外務省は日朝間外交交渉が進めば決済問題を議題として取り上げる構えであると筆者は忖度している。