注目されるTSR~TKR連結事業

|朝鮮半島

金正日総書記の新年の公式活動が1月5日の「金鐘泰電気機関車工場」訪問から始まった。そして翌6日には、駐朝ロシア大使館を訪れた。国家指導者が仕事初め早々に在外大使館を訪れるのは異例と言えるが、一昨年のプーチン大統領の訪朝、昨年の金正日総書記の訪ロと「モスクワ共同宣言」発表など両国関係の緊密化を物語る一つの象徴といえよう。

この二日間の行動で私が真っ先に連想したのがシベリア横断鉄道(TSR)~朝鮮半島縦断鉄道(TKR)の連結問題であった。それは「モスクワ共同宣言」以後の両国関係で、特にその変化が目に見えて現れていた分野であったためである。

「金鐘泰電気機関車工場」の訪問では、生産工程への最新設備と新技術の導入問題が強調されたという。翌日の駐朝ロシア大使館訪問と直接関係しているのかは定かではないが、少なくとも両国間の関係強化の動きを反映して、TSR~TKR連結の早期実現や鉄道近代化などの協力問題が論議されたことは間違いないといえよう。

先の「モスクワ共同宣言」で、双方は「朝鮮半島の北と南、ロシア・ヨーロッパを結ぶ鉄道輸送ルート創設計画の実現のためにあらゆる努力を注いでいくことを公約し、朝・ロの鉄道連結事業が本格的な実現段階に入る」と宣言したが、その後これを裏付けるように▼朝・ロ鉄道協力協定締結(8月14日)▼ロ鉄道省代表団訪朝(9月)など具体的措置が講じられた。

ロシア鉄道省によると、9月の専門家による現地調査後、2~3年後の連結実現を前提とした基本計画が策定され、それに基づき技術計画の策定作業も現在進められているという。

折しも私は昨年9月初め、ウラジオストクでERINAの主催により開催された国際会議に朝鮮側のオブザーバーとして参加する機会があったが、ロ鉄道省調査代表団の訪朝を前にTSR~TKR連結実現に向けたロシア側関係者の意気込みと積極性を肌で直接感じることができた。

一方、TSR~TKRの連結は「韓国」側も大きな関心を寄せているが、「韓国」側専門家を交えた3国間の共同実務作業の実施も具体化しているという報道も伝わっている。

また、1月末に新潟で開催された「北東アジア経済会議」でも、同会議組織委員会「運輸・物流常設分科会」から「北東アジア輸送回廊ビジョン」が発表されたが、この中にもTSR~TKR連結と関連した「輸送回廊」が具体的構想案として盛り込まれた。

TSR~TKR連結は、朝・ロ間の経済関係強化のみならず周辺国ひいては北東アジア地域の安定と協力を図り、相互利益をもたらす上で重要な意義を持つ。また今後の北東アジア地域協力の「原動力」となり得る可能性を秘めている。その意味でも一日も早い実現を期待したい。

つい最近私と会った「韓国」のある研究者は、「TSR~TKR連結実現に向けた朝・ロ間、「韓」・ロ間の連携密接化や今後の南北関係の情勢変化を考慮すると、春以降大きく動き出す可能性がある」との楽観的見解を示したが、是非その通りになってくれればと願っている。

TSR~TKR連結事業の実現は、朝・ロ・「韓」当事者間の相互理解と協力関係を構築し、実績をひとつひとつ積み上げていくことが大前提になるが、朝・ロ政府間に築かれた関係強化のための新しい枠組みを背景に、南北朝鮮間の調整が図られながら着実かつ実行性を伴いながら進んでいくことは間違いないだろう。今後の動きを引き続き注視していきたい。

(了)