「地方企業の競争力」

|ロシア

北海道の地元企業が中心となり、大陸棚資源開発プロジェクトで注目されるサハリン州とのビジネス交流をサポートするための「北海道ビジネスセンター」がユジノサハリンスク市内に開設されて約半年が経過した。私は立ち上げ当初、同センター長代行として赴任するとともに、現在運営主体である「北海道サハリンビジネス交流支援協会」の事務局を務めている。その中で最近とみに感じることは地元企業の競争力についてである。

国際的に不況の中にあってロシアは明るい経済指標を示す数少ない国のひとつである。中でもサハリン州は1兆円規模の資源開発プロジェクトが間近に迫り、ゴールドラッシュのような様相を見せている。現にサハリン-1、2ともに今年後半から来年の上半期ぐらいまでに主な入札を終え具体的なインフラ整備段階に突入しようとしており、世界各地から商機を見込んだビジネスマンが訪れ宿泊先の確保にも右往左往している。北海道ビジネスセンターが毎週発行しているセンターニュースでも9月後半以降「入札案内」等の号外を重ねている。そこでわが地元北海道企業はいかなるビジネスチャンスをものに出来るのか。その秘策はあるのか。

結論として秘策などない。だが、地元企業に少なからぬチャンスがあることは実感している。逆にロシア企業、欧米企業、その他インドや中国の企業を含めて隣接する北海道に対する関心は高い。ただ、それにどれだけ応えているか、非常に心もとない。ロシアに対する疑念、国際ビジネスに対する経験不足などを理由にあげる企業も多いが、最終的には競争力の有無に行き着く。価格競争力と一言でいうが、単純労働力では中国、ベトナムに比較する術もないが、地元企業の賃金レベルが欧州やカナダ、アメリカ等の企業に比較して遥かに高いわけではない。下手をすればサハリンの現地で雇われているロシア人マネージャークラスと同じレベルである。実際は企画力、営業力を含むトータルでのコストにおいて競争力を失っていると考える。本来これらは人件費の中でカバーされるべきものであるが、長年の系列主義や官依存体質の中、企画や営業、さらには経営までをも「アウトソーシング」し、そのコストを商社マージンや官庁OBの受け入れという形で支払ってきた結果、「競争力」を失ってしまった企業が悲しいかな、北海道には多いようだ。ここでいう競争力とはコストという体力面だけではない。瞬発力、つまり瞬時判断し行動するという能力が衰えている。その結果、海外企業からの信頼を喪失してしまう―そのような例を悲しいかな、最近多く耳にする。

私は今回のテーマを「地方企業の競争力」とした。この発想自体が甘いのかもしれない。現在、北海道に問われているのは、「競争力」ではなく、生存力なのかもしれない。つまり組織として、もしくは個人として生き残れる否かの瀬戸際に立たされているという認識が必要になってきている。