重要な景気政策

|日本

日本の景気は非常に深刻である。今年に入ってから不況が急速に進行していたうえに、9月11日アメリカで同時多発テロが発生し、これに追い討ちをかけたからだ。

9月の鉱工業生産指数は前月比2.9%減で、前年同月比では12.7%という大幅な減少となった。減少が最も大きいのは電気機械で、前年同月比27.6%減だが、その他の産業も輸送機械を除いては全部落ち込んでいる。輸出数量は前年同月比13.9%減、対米輸出は18.2%減。失業率は9月5.3%と過去最高になった。4~6月期のGDPは前期比年率2.9%という大きな落ち込みとなったが、7~9月期はもっと減るに違いない。

政府は11月9日、2001年度の経済成長率の見通しを年初の1.7%からマイナス0.9%へ下方修正したが、これでもまだ高すぎると思う。もっと落ち込みは激しくなるだろう。GDPの減少の原因は輸出の低下だけではない。設備投資、住宅投資、消費、公共投資等全般に及ぶだろう。

このような状況であるから、政府や日銀は全力を尽くしてデフレの進行を食い止めなくてはならない。私は、日銀は全力を出し切っていると思う。公定歩合は0.1%であり、コールレートは0.003%である。日銀の国債買い切りオペ月8,000億円、日銀当座預金残高は6兆円以上等で、これ以上手段はない。日銀が物価上昇率をたとえば3%と明示し、それを目標として金融政策を行うといういわゆるインフレターゲット政策については、政府やエコノミストの一部に強い支持者があるが、日銀が物価を上げますと明言したからといって、それでデフレがストップするはずはない。反対である。

デフレが止まらないのは有効需要が不足しているためである。有効需要を増やすためには、財政の出動が必要である。現在、需給ギャップは10%ぐらいあると思う。民間設備投資や消費が伸びてそのギャップを埋めてくれればいいが、デフレ下でそれは期待できない。どうしても財政が出動する必要がある。財政政策はアメリカでもアジア諸国でも実施していることだ。アメリカでは今年に入ってから1,300億ドル以上の財政対策をとっている。

財政対策には公共投資の追加を中心とする財政支出の増加と減税という二つの対策があるが、どちらも必要だ。公共投資は乗数効果によって民間の設備投資や消費を刺激するから、もとの公共投資の増加率以上に景気を刺激する。また減税は可処分所得を増やし消費を増加させる。財政対策は効果がないという人がいるが、それは公共投資や減税をやりたくないための口実だ。

私は公共投資5兆円、減税5兆円、合計10兆円ぐらいの財政対策を実施すべきだと思う。

その財源はもちろん公債である。10年もの国債の金利は1.3~1.4%という低金利である。国の債務が大きくなっているから国債に依存することはできないという議論は誤りである。