「苦労話」

|中国

日本企業の対中国投資は、昨年2,745件であった。毎月200件余りが中国に進出している勘定になる。累計では2.5万社を超えた。この投資ブームの中、失敗例は喧伝され易いということなのか「中国進出企業は概ね失敗している」などと言う人もいるが、勿論そんなことはない。とは言え「苦労話」も少なくない。

第一話

ある賃貸マンションは、外国人用住宅の不足を見て事業計画を立てたが、合弁交渉と認可取得に長い時間をとられ「天の時」を失った。後発組が続出したことで供給がだぶついて、マンションが完成した頃には借り手がサッパリいない状況になっていたのである。また文教地区の環境の良い場所を選択したはずが、都市開発の方向を見誤り、遠くて不便な物件となり、「地の利」も失った。さらに悪いことに、運命共同体のはずの中国側パートナーとの折り合いがうまく行かず、外資の派遣する経営者は次から次へと交替を余儀なくされ、「人の和」も保てなかった。勿論、「この外資は撤退した」と噂に聞いている。

第二話

家電メーカーや自動車メーカーが中国に生産拠点をシフトするに伴い、これら外資系企業と中国企業に原材料・部品を供給する企業も大挙して中国に出かけている。

その中のある金属加工のメーカーは、売上の大部分が掛売り(掛売りにせざるを得ない)だが、売上の多くがoverdueとなり、会社の資金繰りを極度に圧迫している。やはり中国企業は支払いが悪い!と思ったが、調べてみると支払の悪いのは(スカートを踏んでいたのは)、「出ろ出ろ!」と薦めた外資系企業だったという。

第三話

広大な中国市場で製品を売ることを夢見て進出したある企業は、地方保護(中国語では「地域封鎖」)主義という思わぬ壁にぶつかった。地元では売れるが、一歩外へ販路を広げようとすると、簡単には売れない仕組みになっている。地元企業を保護するために地方政府は彼等に種々の便宜を与えるとともに、ご当地以外の企業には、例えば自動車なら登録時に課税するとか、登録そのものを制限するとかして、地元への流入を防いでいるのである。

これでは、広大な消費市場の中国でモノを売るのは難しく、「中国の国土は広いが、市場は狭い」と愚痴も言いたくなる。こんな中国市場で「苦労話」を積み重ねながら、外資系企業の果敢なチャレンジは今日も続いている。