日ロ貿易投資促進機構への提言

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小泉総理がロシアを訪問し、1月10日にプーチン・ロシア大統領との間で「日ロ行動計画の採択に関する共同声明」に署名した。今回の訪問では、日ロ間ののど元に刺った棘である領土問題があまり討議されず、むしろNPT脱退を宣言した北朝鮮の暴走に互いの懸念が表明された。話題が北朝鮮問題になったことは当然である。

私が注目していたのは、正直言って北朝鮮や領土問題ではなく(どちらも関心はあるが)、日ロ貿易投資促進機構のことがどうなるかであった。なぜなら、私自身1995年3月から2001年3月末まで6年間、日ロ貿易投資促進機構と性格が似ている半官半民の経済団体、日中投資促進機構の北京事務所首席代表として在中国の日系企業を支援していたからだ。帰国後、日ロ経済関係の団体に日中投資促進機構の機能について説明したこともあった。

日中経済関係は国交正常化以来30年間に貿易金額が80倍以上も増加し、日本企業の対中投資の累積実績金額は500億ドル近くまで拡大した。そうした発展の一端を日中投資促進機構が担っていることは、多くの日本企業が承知している。

今回の「日ロ共同計画」では第4項目の「貿易経済分野における協力=信頼、行動―相互利益へ=」の筆頭に日ロ貿易投資促進機構の早期設立にかかわる検討作業を活発化させる、とうたわれている。このことは昨年10月に東京で開催された第6回日ロ経済合同会議での提言を踏襲したものである。

日ロ貿易投資促進機構の話題は、2001年6月に当時の今井経団連会長を団長とする経済使節団がロシア側に提案したのがきっかけである。それ以来1年半が経ち、これから検討作業を活発化させるのであるが、その時間を遅いとみるか、速いとみるか判断は難しい。

日中の場合は、1988年10月の大規模な官民合同訪中団派遣以後、天安門事件で頓挫したにもかかわらず、1990年3月に成立した(中国側の機関は90年6月に設立)。日ロと情勢が違うのは、当時日本経済はまだ元気で、政府、企業も熱心であり、中国でも中央、地方政府とも投資誘致に非常に積極的であった。対中投資への関心の高さという客観情勢に沿う形で投資促進機構が誕生した。日ロの場合は、主体たる促進機構がリードして対ロ投資ブームの客観情勢を作り出さねばならない。

日ロ貿易投資促進機構設立に関して、日中ビジネスの現場にいた経験を踏まえ、いくつか提言をしたい。その主眼は、第一義的に日本企業の対ロ直接投資の促進と投資と連動した貿易の活性化である。それが軌道に乗れば、ロシア企業の対日投資も視野に入れること。最初から一挙両得は考えない。第1は、ロシア政府の理解と熱意が必須。その場合、中央政府のみならず、地方政府の協力が中国以上に必要と思われ、外資優遇措置を明確にすること。効果と行動範囲を考慮して、地域を極東ロシア、一部西シベリアに限定すること。全ロシアでは力が散漫する。モスクワ地区などは欧州駐在企業がカバーすればよい。

第2は、日中と同様、投資コンサル、トラブル処理、資料・情報収集、政策・法規提言に加え、金融協力、外国人労働者(主として中国人)の極東ロシアでの活用といった問題も考慮する必要ある。

第3は、極東ロシアの鉱物(石油、天然ガスが中心)、森林、漁業資源の投資には長期低利の特別ローンと両国政府の保証を確保すること。

第4に組織はNPOにして、企業会費には租税措置を考慮する。事務所はハルピンにも空路があるハバロフスクがよい。