中国の「走出去」戦略に思う

|中国

中国がWTOに加盟したことで、第3の対中投資ブームの到来という。2001年の対中直接投資(実行ベース)は前年比14.9%増、今年上半期も前年同期比18.8%増と大きな伸びを示している。中国で登記された外資系企業は約40万社。これほど多くの外資を受け入れた国はかつて存在しない。中国が「世界の工場」といわれる所以である。

この「世界の工場」からメイド・イン・チャイナの製品が世界に輸出され、中国は今や世界第6位の貿易大国となっている。その輸出額だが、半分以上が中国に進出した外資が稼いでいる。中国製品に国内市場が席巻され、「中国脅威論」がまことしやかにささやかれているが、中国からみれば、外資に生産現場を提供し稼がせているわけで、「中国脅威論」などないということになる。中国における「外資脅威論」が出てきてもおかしくない状況だ。中国は、今後も積極的な外資導入路線を堅持する姿勢だが、同時に、「走出去」(中国企業の海外展開)戦略を積極化しようとしている。

日本への「走出去」の例としては、年初中国最大手家電メーカーの海爾(ハイアール)と日本の三洋との業務提携が発表され話題となったが、これはほんの一例に過ぎない(注1)。2002年6月末までに海外展開した中国企業は6,758余社(金融機関を除く)(注2)。今後、中国企業による海外での生産拠点の設立や合弁事業、M&A、海外証券市場への上場などWTO加盟でますます増える威勢にある(注3)。中国企業が様々な形態で日本に上陸というシナリオはそんなに遠い話ではない。日本企業の対中進出で日本の産業空洞化が懸念されている昨今、その穴を埋めるためにも、中国企業(中国企業と中国に進出している外資の連携によるケースもある)の対日進出を受けとめる準備をしたらいかがかと思う。中国の「走出去」戦略において、日本は欧米に大きく遅れをとっている。

この点、日本の地方自治体に大いに期待したい。地元企業の対中進出を支援することも重要だが、中国企業の対日展開を受けとめる「プラットホーム」つくりを、中長期視点からぜひやってほしいと思う。経済活性化に貢献すること大となろう。くどいようだが、中国企業の海外進出ブームは必ずやって来る。その前に、「走出去」戦略を、県が中心となって産官学で研究するなど、これに積極的に応えてほしいと思う。中国企業の対日展開事例がいくつか生まれたら、21世紀に入っての新たな日中経済交流の大きな第一歩となろう。


(注1) 中国のTCLと日本の松下との提携、中国の海信と住友商事の提携など。
(注2) うち、382社の中国企業が海外に生産工場を設立している。
(注3) 例えば、瀋陽市。2001年、国有大型企業10社(自動車・部品、医薬・化工、軽工業、紡織など)を選出し海外での事業展開を実現するため各種プロモーション活動を行った。うち、瀋陽変圧器廠はフランスの大手重電メーカーと、瀋陽風動工具廠はスウェーデンの産業機材大手と、食品メーカーの紅梅集団、家電メーカーの華麗集団はそれぞれ日本の大手企業と合弁事業交渉を行ったと報じられている。