日中中小企業間交流に思う

|中国

中国にとって、今年は中小企業元年といってよい。1月1日に「中小企業促進法」が施行され、中小企業の発展に大きな布石が打たれたからだ。「世界の工場」といわれる中国で、いまさら中小企業の促進とはおかしな話だが、中国の中小企業はこれまで意外と冷遇されてきていた。それが今、中小企業の発展を大いに図るという。なぜか。一口に言って、自前の中国製品を作ろうということが根底にあるということだ。安価でそれなりの品質をもった中国製品に席巻されて、中国脅威論が横行する昨今だが、実はこの中国製品はその半分以上が、中国に進出している外資の手に依っている1。すなわち、中国製品を構成する部品や原材料の多くが、輸入か中国に進出している外資に提供されたものであるということはあまり意識されていない。

今や、国際化の時代である。中国にいる外資がいつ進出の矛先を中国以外の地に求めるかもしれない。そのとき、中国に産業空洞化がおこるとも限らない。今後に不確実な国際経済の行方を睨んで、産業空洞化、とりわけ失業率を最小限に抑えるためにも、製品(部品原材料)づくりに深く関っている中小企業の育成と発展が必要という深謀遠慮こそ、「中小企業促進法」施行の本音である。

中国の中小企業の発展は外資にとっても大いに期待されているところである。一例をあげると、昨年11月、EUから総勢300社の大型ミッションが来華し、中国の各省・市の中小企業と貿易、投資、技術協力、R&D、マーケッティングなど経済案件に関し、いわば集団見合いを行っている。EUにとっては、この手のミッションは今回が最大規模で、商談内容は、各種部品・原材料の調達はいうに及ばず、機械設備、電気、金属、IT、環境、食品、エンジニアリング関連など広範囲に及んでいる。成約もまずまずの出来というから、中国の中小企業も実力をつけてきているということである。「促進法」でその発展に弾みがつけば、外資にとって対中商談機会はさらに増えるということになる。

では、日本にとってはどうか。中小企業の対中経済関係という点では、日本は欧米を含め他国・地域の追随を許さない時期があったといってよい。現在、日本の中小企業の対中進出には賛否両論あるが、今回の「促進法」を「奇貨2」と捉えてはどうか。日本の中小企業との協力関係の構築に中国は大きな期待を寄せている。この際、例えば、日本のお家芸たるサポーティング・インダストリーの育成や、今中国で将来の発展が期待されているベンチャー企業の起業面などで大いに協力していけるのではないだろうか。対中進出するもよし、しないもよし。中国に進出しているとされる42万社(登記ベース)の外資企業を相手に、日中の中小企業が協力して部品・原材料を売りつけるぐらいの大胆な発想で、「促進法」の本音に耳を傾けたらいかがであろうか。


1 中国の輸出入額に占める在中外資の比率はいずれも50%を超えている。
2 利用すれば意外の利を得る見込みのある物事や機会。(広辞苑)